Yasuhiro Kimura

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Yasuhiro Kimura (木村 泰大 Kimura Yasuhiro) is a Japanese animator credited for his work on the TV adaptation of JoJo's Bizarre Adventure by David Production. He is the Director of Golden Wind, alongside Hideya Takahashi.

Graduate of Tama Art University and affiliate to Studio Comet, Kimura is best known for his work at studio Doga Kobo, directing series like Three Leaves, Three Colors, 2.43: Seiin High and New Game!.

Credits

  • JoJo's Bizarre Adventure: Golden Wind
    • Director (w/ Hideya Takahashi)
    • Opening Animation Director (OP1, OP2)
    • Opening Animation Storyboard (OP1, OP2)
    • Storyboard (PV, eps 3-4, 21)
    • Episode Director (PV, eps 3, 31)
    • Dance Part Director (ep 7)
    • 2nd Key Animation (ep 37)

Interviews

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Missing translation
Website/Online
Interview
Published July 27, 2019
👤 Yasuhiro Kimura, Hideya Takahashi
📜
Anime

アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』木村泰大監督&髙橋秀弥監督 クライマックス直前インタビューゥゥウッ!!!!!|“覚悟”を決めてジョルノたちと共に駆け抜けた怒涛の3クールを振り返るッ!! いよいよ明日、最終話を迎える『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』。ブチャラティの命を賭した機転により、王の中の王が手に入れるべき矢はジョルノの手に渡った。そして、矢の力でパワーアップしたジョルノのスタンド、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの拳が遂にディアボロに叩き込まれる! 悲願のボス撃破となるのか……!?

ここに至るまでの道のりは長く険しく、失ったものも大きい。仏頂面の裏に正義の心を秘めていたアバッキオ。戦いののちに故郷に帰り、同年代の少年たちと同様の学生生活を夢見たナランチャ。そして、ギャングでありながら誰よりも熱い道義心を持っていたブチャラティ。ギャングという生き方から逃れられなかった彼らは運命に翻弄されるだけだったのだろうか?

ここまで番組を観てきたファンならば、その問いに素直に首を縦に振ることはしないだろう。サン・ジョルジョ・マジョーレ島で、組織を裏切りボスを討つと決断したアバッキオとナランチャ。そして、肉体が朽ちても執念で動き続け、ボスを追い詰めたブチャラティ。安らかながらもゆっくりと死んでゆく人生とは真反対の、苦難に満ちていながらも激しく脈打つ人間賛歌の生き様だった。\ そして、アニメスタッフもまた誇りを胸に作品制作に取り組み続けてきた。『ジョジョ』という大作を背負う名誉と引き換えの重圧は相当なものだったに違いない。だが、ブチャラティが最期に口にした「幸福というのはこういうことだ」と同様のことを言えるように3クール戦い続けてきたはずだ。

編集部は最終話を制作中の木村泰大監督と髙橋秀弥監督にインタビューを実施。『ジョジョの奇妙な冒険』のTVアニメーションシリーズ第1作から携わっているdavid productionの笠間寿高プロデューサーにもご同席いただき、制作背景について伺った。ディアボロとのバトルをはじめ、船上でのダンスや対チョコラータ戦での無駄無駄ラッシュといったファン注目のシーン、そして原作者・荒木飛呂彦先生からのアドバイスなど、これまでの3クールを振り返っていただいた。


【グッズ-ブロマイド】あんさんぶるスターズ! ぱしゃこれ/IDOL SHOT Ver.4【再々販】 『黄金の風』では「チーム対チーム」を意識した(高橋監督) ――遂にクライマックスです。3クールを戦ってきたご感想をお聞かせください。

髙橋秀弥(以下、髙橋):よくここまで来たなという感じです(苦笑)。

木村泰大(以下、木村):全くその通りです(苦笑)。今僕らにはそれしか言うことはなくて……どのくらい前からやっていましたっけ?

笠間寿高(以下、笠間):アニメ制作の依頼をいただいたのが2017年の1月で、その年の7月にイタリアにロケハンに行きました。

――2年以上『黄金の風』を作り続けてきたわけですね。では、今作を制作する上で意識したところは?

髙橋: 第5部特有のことでいうと「悲哀のドラマ」ということを意識しました。最終的に生死を賭けて戦う部分もそうですし、キャラクターたちが必ず幸せではない境遇から始まっていて、そこから抜け出そうとしているので。

――『ジョジョ』は敵キャラもポリシーを持っていて個性的で、敵と味方を単なる善悪で線引きできないところも魅力です。ましてや、第5部は主人公たちがギャングです。少年漫画/アニメの主人公として描く上で意識した点は?

髙橋:最終的に「ジョルノたちってジャンプ漫画の主人公だな」って僕の中で落ち着いたんですよね。一応ギャングを職業にしていて、前半では一般人をボコボコにする描写もありましたが(苦笑)、気持ちや覚悟の部分は少年漫画の王道をしっかりと拾っているので、僕らも少年漫画を描くつもりで作っています。暗殺者チームに関してもそことは違った意味で覚悟がある面白いキャラクターだったので、そこを掘り下げてアニメでは「チーム対チーム」を意識しました。

――そういった要素は特にどのシーンで表れていると思われますか?

髙橋:一番意識したのは暗殺者チームが出てきた第9話~第11話のホルマジオ戦です。僕の担当回で、まずきちんとセットアップをしないといけないので、シナリオの時から津田尚克総監督と話して、初めからリゾットチームを見せるというふうにしました。チーム対チームという図式を作って、鉄砲玉のホルマジオが最終的に倒された時に「これから大変になるぞ!」というバトル感を強く出そうと考えました。

木村:チーム対チームにするのは、この作品の開発で最初に決まったことで、第4部までとは違うところだと思います。ジョルノたちは少年漫画の主人公的な原理で行動していますが、そうではない敵キャラのことも理解できる部分がある。アバッキオの先輩警官のセリフで「わたしは『結果』だけを求めてはいない」「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている」などは良い言葉なんですけど、実際問題、仕事や日常生活で僕らは結果だけを求めてる時も結構あると思うんですよ。だからディアボロを一概に否定できないっていう(苦笑)。そういったところが『ジョジョ』の魅力だし、少年漫画の枠に収まらない、懐の深い作品だと思いますね。

敵キャラクターの行動原理にも共感できるようにしている(木村監督) ――『ジョジョ』は大人が読んでも共感できる部分の多い作品ですよね。

木村:ディアボロについては原作に描いてあることをそのままシナリオに起こして、そのままアフレコしてもらっているんですけど、相当コソコソ・ビクビクしながら戦っているので、アニメだと小物な感じが増していますよね。でも、実際に自分がディアボロの立場になるとこうなるだろうなと分かるし、むしろジョルノたちの方がちょっと怖いなって思っちゃうところもあるし。僕らは全然正義の主人公ではないので(苦笑)。

――確かに彼はギャングとはいえ、組織のトップで多くの部下を管理しなければならない社長・社会人としての立場でもありますよね。

木村:あんな服装ですけどね(笑)。だから、敵キャラの地盤を固めるのは大事なことで、敵の行動原理もちゃんと共感できるようにする。主人公はジョルノたちでもう設定されているので最終的にそちらの筋を選びますけれど、それまではむしろ主人公が悪役みたく見えてもいい話数があってもいいと思っています。

――他のキャラクターで憎めないやつとかはいますか?

髙橋:津田さんはフーゴに共感していて、「俺も裏切る」って言っていました(笑)。

木村:普通はブチャラティたちについて行かないよね(笑)。

髙橋:ブチャラティチームに共感できる人ってなかなかいないんですよね。

木村:ジョルノが一番スーパーマンですからね。やはり共感しづらいところがある。

髙橋:ファンのあいだで暗殺者チームの人気があるのは、共感できる部分が多いからでしょうね。僕も暗殺者チームは演出していてより楽しかったし。主人公たちってやはり正論というか、その正義がデカすぎて超人的なんですよね。スクアーロ&ティッツァーノ戦でナランチャが自ら舌を切って迫っていくのもすごく覚悟が決まっていますけど、あんなの絶対できないなと思いますし。

木村:でも、僕は基本的にスーパーマンなのはジョルノだけだと思いますよ。彼に引っ張られて、みんなああいった行動をしていますが。だから、ジョルノが一番強いんだろうなって思いますね。

――ブチャラティチームの中ではアバッキオの心の揺らぎが特に印象的に描かれていて、『ジョジョ』なりに人間の弱さを表現されていたと思います。

木村:アバッキオはすごく勘が良いと思っていて。最初にジョルノのことを排除しようとするじゃないですか。あれはやはりジョルノが危険な存在だと最初から見抜いていたんだろうなと、ここまでくると思います。ジョルノさえいなければ、ブチャラティたちとそれなりに楽しく過ごせていたのかもしれないのに(苦笑)。新入りが来たせいで大変なことをやらなきゃいけなくなっちゃって、チームが全滅の危機にも陥るし、自分も死んでしまうし。

髙橋:そうですね。まぁ、戦闘向きのスタンド使いではないので、用心深いのでしょうけど。意外とチームのことを良く考えていて、要所要所で全体を見ている動きをしていましたし。ブチャラティと同い年なので、チームのお兄さん的存在なのかなと。社会人経験もありますし。

木村:アバッキオは元警官ですから人一倍正義感が強いのだろうと思います。

――アバッキオがお兄さん的とのことですが、個人的にはブチャラティがチームのお父さんだとしたら、アバッキオはお母さん的な存在かもと思ったのですが、いかがでしょうか? 年下のメンバーのことを細かく見ていて、結構小言を言っているので。

髙橋:そうかもしれないですね。ミスタも意外と明るいお母さんな感じがするかも。

木村:なるほど。ミスタとアバッキオの立ち位置は人によって見方が違うかもしれないですね。僕はブチャラティが母でもあり父でもあると思っていて、その下に他のやつらがいて全員同列、同じ学年っていう感じですね(笑)。

「無駄無駄原画」のラッシュはもっと長くするつもりだった(木村監督) ――作画や撮影処理などの映像面で特に工夫・苦労されたところは?

木村:そもそも、キング・クリムゾンがどうなっているのかを理解するところから始まったので、最初の開発コンセプトとして「分かりやすくしよう」というのがありました。第3部までは火が出るとか凄いパワーで殴るとかで分かりやすいんですけけど、第5部になると観念的というか複雑になっていて、原作をサッと読む程度だと理解できないところが多くて。この仕事を受ける前から「一番難解なのはキング・クリムゾンだ」と言われているのは知っていたんですけど、まさか自分が映像化することになるとは(苦笑)。

髙橋:監督3人の中で誰がやるんだとなった時に、木村さんにやっていただいたんでホッとしました(笑)。

木村:しかも、レクイエムになってさらに分かりづらくなるという(苦笑)。

――キング・クリムゾンが発現すると周囲が宇宙のようになりますね。

木村:あの状態だと地面などの動いてないものが全部割れて、その後は宇宙っぽくなって、アニメ用語で「イメ背(イメージ背景)」というのですが、どこか分からないけど空間を歩いている感じになる。それと、キング・クリムゾンの射程距離も全世界が止まっているのか、それともディアボロを中心に半径何メートルと範囲が決まっているのか分からなかった。第21話の教会でブチャラティにサービスで自分の姿を見せるのもよく分からないし。いくつか整理できないところがあったのですが、そこはもう割り切ってやるしかないな、と。映像として見た時に違和感がないようにする組み立てが難しかったです。

――ファンの間で特に話題になったのが、第31話で「無駄無駄原画」とクレジットされたチョコラータを倒す時のラッシュです。

木村:実はカッティングの時は40秒ほど尺を取っていたんですけど、最終的には確か30秒弱になって少し短くなったんです。あれだけのスピードだと(ジョルノ役の)小野賢章さんが相当早口で言わないといけないらしくて。まぁ、それでも長かったですね(笑)。

髙橋:充分気持ち良かったですよ!

木村:

第31話の無駄無駄ラッシュ

船上でのマイケル・ジャクソン風ダンスを描くために1ヵ月研究した(木村監督) ――第7話の、船上でズッケェロを拷問する時にラジカセで音楽を聞きながら踊る場面も力が入っていました。原作ではたった数コマですが、とても印象に残る場面です。

木村:何であんなに凝ったことをやったんですかね。覚えてないんですけど。第7話だったからまだ元気があったけど、仮にあのダンスが第35話だったら絶対やってないですよね。そもそも、あれ何で踊ったのかすら分からないし。

笠間:イタリアのロケハン中に、木村さんが「専用楽曲を作ろう」って言って、曲を作っちゃったからですよ。

木村:あれ? 僕が言ったんですか!?

笠間:それで大森啓幸プロデューサーが「よしきた!」って専用楽曲を発注したという。

木村:みんな浮かれていたんですね(笑)。楽曲を最初の段階で発注しちゃっていて、忘れた頃に曲が上がったと連絡がきて、そういえば発注したっけみたいな感じってことか(苦笑)。

髙橋:木村さんが描くということだったので、僕と津田さんは他人事として普通に「おぉ、良い曲だな」っていう感じでした(笑)。

木村:そうそう。完全に僕がやることになっちゃってて「えぇっ、マジすか!?」って(苦笑)。

――曲はどんなイメージで発注したのですか?

木村:「ギャングっぽい曲」みたいな漠然とした感じで発注した気がします。いざ曲を渡されてコンテを描く時に、4コマしかないから原作のポーズだけだと繋がらないし、尺も10秒ももたないと思うんで、何か新しく作らないといけなくなって。それからYouTubeを1か月ぐらい見続けて、あのポーズにはまるダンスの曲を探したんです。結果的に、マイケル・ジャクソンが一番近かったので、ミュージックビデオやライブを全部見て、参考できそうなところをピックアップして、原作に沿うように変えて1分にしました。だから、ものすごく時間がかかっています。描くのは2日でしたけど、調べるのに1か月くらいかかりました(苦笑)。

第7話のダンスシーン

――第6話の船上でムーディー・ブルースが最初に登場した時もこだわりを感じました。

髙橋:あれは僕が担当しました。ムーディー・ブルースの数少ない活躍回なので(笑)、花を添えてあげようと思いました。過去を遡るスタンドなので、過去の集合体みたいな感じで軌道を残して、それが集まったような表現にしました。上手くいって良かったなと思います。

――他に作画面で特に力を入れたところはありますか?

木村:それで言ったら、第34話のシルバー・チャリオッツ・レクイエムの能力で身体と精神が入れ替わって戸惑うところは完全にギャグでした。あれ相当遊んでるんじゃないですか? 原作よりかなり盛られていますよ。

髙橋:ここは表情で遊べるんじゃないかと思って色々攻めた結果、意外と面白くできたので良かったです。

――ボスと直面してめちゃくちゃシリアスな状況なのに、いきなりギャグパートが結構長く入るっていう(笑)。

髙橋:BGMは奇妙さを残しながら本編が始まるんですよね。途中からギャグのパートになったらガラッと変えてもらっている。

木村:オープニングで結構カッコよくしたのに、急に間抜けになってね(笑)。

第34話の身体と精神が入れ替わるシーン

――『ジョジョ』のアニメはこれまでのシリーズでもクライマックスが近付くにつれて、オープニングで違うことやって視聴者を楽しませてきましたが、今作でも見せてくれましたね。

笠間:第34話でキング・クリムゾンの演出が入って、分かりやすくなっていますよね。

木村:そうですね。ノーマルOPがキンクリに飛ばされた状態で、ディアボロOPになるとキンクリに飛ばされたところが見えるっていうのは誰が考えたんですか?

髙橋:それも木村さんですよ(笑)。発注の時にそのアイデアが出て。

木村:僕でしたっけ? 大体忘れちゃうんですよ(苦笑)。そう、そういう感じにしました。

――他にアニメオリジナル描写でこだわったところは?

髙橋:暗殺者チームの登場シーンを追加したり、過去編をナレーションベースではなくキャラクター目線で描いているっていうところとかですかね。それと、フーゴを第35話でナランチャが死亡したあとにチラッと出しました。

――原作では、フーゴは離脱した後に全く描写がないから、生死も不明でした。

笠間:ボスの手下に始末されているかもしれないですからね。

木村:親衛隊に戦力が残ってなさそうですけどね(笑)。

髙橋:ブチャラティたちをやっつけないといけないから(笑)。

デザイン面は荒木飛呂彦先生からのアドバイスが活かされている(木村監督) ――荒木先生からどんなアドバイスがありましたか?

木村:基本的な色についてですね。スタンドとかの色パターンを何種類か作って、そのチェックをしていただきました。一番大きいところでは、ジョルノの服装や髪の色と服の色を5パターンぐらい作ったんですけど、髪はこれ、服はこれみたいに選んでいただきました。ジョルノの服は紺と赤系で分かれていたんですが、荒木先生がピンク系を選ばれました。フーゴも服は黄緑になっていますけど、オレンジ色の案も出していて、髪の毛も金と銀の案がありました。アバッキオは緑と紺の2つ出しました。ナランチャはパッと決まっちゃいましたね。

髙橋:僕はエアロスミスの本体色が赤になったので驚きました。単行本51巻の表紙の青いイメージが強かったので。

――色以外では?

木村:スタンドのデザインでラフをお見せして、プロポーションをもう少しこういう風にしてほしいとかはありましたね。キング・クリムゾンは肩幅をしっかりしてほしいとか。それと、ブチャラティはピンマークみたいな模様の上下のスーツを着ていますが、あれって初登場の話数だと手書きなんですよ。手書きだと手間がかかりすぎて毎週納品ができない感じになっちゃって、次から貼り込みしました。貼り込みでも大変なんだけど。現場が崩壊する一番の危機ですよ(苦笑)。

髙橋:こんなこと言ったらファンに怒られるかもしれませんが、第33話以降ブチャラティの出番が減ってくれて助かりましたね。でも、すぐに線がとても多いディアボロとして復活してきたっていう(苦笑)。

――第5部のキャラはみんなオシャレで装飾が多いから大変ですね。

木村:アニメで動かす上で装飾を多くしたいのは山々なんですけれど、そもそも作れなくなるので減らさないといけないんですよね。でも、やはりデザインは荒木先生のこだわりがあるものなので、どこまで落としていいのかという点は結構チェックしていただきました。

――原作関連のことでいうと、二つめのEDアニメーションを担当されている滝れーきさんは荒木先生の元アシスタントさんだと伺っています。滝さんは漫画家で、アニメーターではないんですよね?

笠間:漫画家さんです。第2部の後半と第3部の前半の時期にアシスタントやってらっしゃったそうです。

髙橋:今作では美術設定で入ってもらっているのですが、アイキャッチも滝さんに描いてもらっている部分が多くて、その流れでEDアニメーション2を石像のスタンドが並ぶという形で構成しました。

木村:滝さんはアニメーターではないので、OPアニメーション1の最初の彫刻と最後のジョルノのエンブレムのカットなど、一枚絵的なものを手伝ってもらっています。アニメーターではないから動きは描けないんですけれど、その分アニメーターより密度がある絵が描けるというか。アニメーターってあそこまで密度のある絵が描けない人も多いし、そもそもコスト計算しながら描くのでなかなか描きづらいところがあるので、そういうところで滝さんにはとても助けていただきました。

漫画家の人ってやはり絵が生きた感じがすると思いました。別にアニメーターが死んでいるわけじゃないですけど、色々な人の絵柄が描けないといけないので、ある程度自分を殺さないとダメなんです。絵を合わせることに特化しつつ、自分の絵を描ける人って本当に少ないので。滝さんは荒木先生のアシスタントもしてらしたので線質も似てるところもありますし、パワーがあってとても良かったです。

イタリアへロケハンに行った経験がフィルムに表れている(木村監督) ――イタリアにロケハンに行かれたということでしたね。

木村:ロードムービーなので色々な場所に行って、原作のコミックスを見ながら、「こんな感じかぁ~。実際始まったら思いのほか大変だぞ。どうすりゃいいんだろう(苦笑)」って話していたところから一年間苦しんでようやくここまできました。

髙橋:取材中はまだ本当に自分たちが作るという実感がなく、やることは決まっているけれど覚悟が決まってないというか。とりあえず写真を撮ってゆっくり考えるかって感じで始まりました。

木村:空気感を味わうのが大事なので、ロケハンは本当に行って良かったです。「本当か?」と思われるかもしれませんが(苦笑)。それがフィルムには良く出ていると感じています。今放送している話数の舞台がローマですが、僕らが最初に行った場所なんです。ロケハンから2年くらい経ってようやく今につながっているので、感慨深いものがあります。

――ロケハンの成果は具体的にどのように画に出ているのでしょうか?

髙橋:まず第2話のジョルノがギャングスターになることを宣言するシーンは、原作だと教会の前になっていますが、場所的にあまりイメージが沸かなかったんです。そこで、ロケハンで行ったナポリ(ネアポリス)を眺望できる高台がとてもロケーション的に綺麗だったので、第2話~3話と舞台が繋がるのですが、ここにしようと決めました。

木村:原作だと、電車でのぼっていって途中駅で降りてそのまま宣言するんですけど、宣言する場所が一番下の海岸沿いなんです。だから、いつの間にか下りているってことになるんです。しかし、映像でそうしてしまうと「あれ? さっきまで山の中腹にいたはずなのに」となるので、新しく、ナポリの街や海が一望できる展望台のようなところを設定しました。ジョルノたちと同じ電車ではないのですが、僕らも似たような路面電車に乗って彼らの足跡を追体験をすることで肌で感じたものや行ったからこそ分かることがありました。

僕らがイタリアに行ったのは夏だったので、原作とちょっと時期が違うのですが、空の色だったり、建物や地面の色や材質といった細かい部分も現地に行くと触ることができる。屋内も靴で歩くことや埃っぽさなどの行ったからこそ分かったことをスタッフに伝えられるので、目に見えてるところ以上に大事なことだと思います。

――原作マンガはモノクロなので、アニメにする上で色を付ける作業が特に大きいと思うのですが。

髙橋:『ジョジョ』はカラーイラストがたくさんありますし、原画展も開催されていましたから、キャラクターはそれらを参考にしていますが、美術に関しては実在の場所を参考に作ってます。

木村:最初、空の色を変えるかどうかでかなり悩んだんです。結果、今のものにしたんですけど、最初にちょっと緑色にしてみてはちょっと違うなとか言いながら試行錯誤しました。アニメ作品だと、ナポリの街の俯瞰や海から見た絵といった美術ボードを最初に作り、それを基準に他のものにどんどん広げていくのですが、それを作るのが一番大変でした。

――日本とイタリアでは気候の違いもありますよね。

木村:雲が少ないほど光が強いために影が濃くなるといったコントラスト比の部分がナポリでの話数に出ています。また、カプリ島専用の処理のフィルターを作って、暑くて日差しが強い感じを表現するために彩度を高くしたりしています。

――建築物についてですが、例えばコロッセオも当然立体的に考えて、この時は誰がどこで戦っているということを計算してらっしゃると。

髙橋:そうですね。ただ、実はコロッセオの中ってそんなに移動しないで戦ってるんです。全体の1/4くらいのところで物事が起こってるので、その部分を3Dで作って、美術発注はしました。でも、原作と実物の間取りを付き合わせていくと、全く同じではないんです。ですから、アニメでは実物にちょっと合わせていくという作業をしています。

木村:ポルナレフと対峙してドッピオからディアボロに変わる時の柱はいくら探してもなかったのですが、やはりあれは必要なので付け足しています。

髙橋:実は結構違いますよね。外壁が欠けている位置も原作は実物の逆側なんですよね。ですから、アニメではぐるっと回しています。

木村:全てを現実に合わせようという訳ではなく、あくまでも原作の補強として現実を使っているだけなので。原作で描かれているものがないといけないって時は作るし、作るにしてもディティールなどは現実に合わせて新しく作り直すという作業をしています。

――最後に、最終回となる第38話と最終話の放送への意気込みをお願いします。

木村:一時間でまとまっているのが一番すごいところですよ。『ジョジョ』って自分でも観ていてあっという間に終わる印象があって、もうちょっと観たいなと思う時があるんですけど、最終回は倍の尺で観られますから(笑)。

髙橋:シナリオ打ち合わせの時にも話したのですが、そのエピソードを別けて一週分空けてしまうと理解が難しい内容なので。それが1時間にまとめて放送できるのは良かったと思います。

――最終話の「眠れる奴隷」は『ジョジョ』シリーズの中でも屈指の奇妙な話だと子どもの時に原作を読んでいて思いました。

木村:津田さんは乱丁(書籍のページの順序が乱れていること)だと思ったらしいです(笑)。

髙橋:時間が飛んだみたいな感じですかね(笑)。最終回の放送を楽しみにしていただければと思います。[1]

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Interview
Published November 22, 2019
👤 Yasuhiro Kimura, Hideya Takahashi
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Anime

“ジョジョ愛”に敬意を表するッ! 『黄金の風』監督コンビが明かす、情熱の制作秘話 2019年11月22日 17時55分 2012年から続くテレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』(以下、『ジョジョ』)シリーズの最新シーズン『黄金の風』。

イタリアを舞台にギャング同士の抗争を描いた本作は、イタリア各所を巡りながら緊迫したバトルを展開し、最終決戦の地であるローマへ突入。強大なボス、ディアボロ(CV:小西克幸)を前に多くの仲間を失いながらも、ついに主人公ジョルノ・ジョバァーナ(CV:小野賢章)たちの勝利で幕を閉じた。“覚悟”や“運命”といった心を打つテーマを盛り込みつつ、最後には爽やかな風が吹き抜けるような全39話だった。

2018年10月から3クールにわたって放送され、今年7月に最終回を迎えた本作。そのBlu-ray&DVDの最終巻が11月13日に発売されたことを記念して、監督を務めた木村泰大、髙橋秀弥のふたりに、ジョルノたちと共に駆け抜けた3年間を振り返ってもらった。

『黄金の風』で初めて『ジョジョ』シリーズに関わったふたりは、いかにしてシリーズのDNAを受け継ぎ、落とし込んでいったのか。イタリアロケ、アフレコ時のエピソードはもちろん、名シーンの裏側や狙いまで、徹底的に掘り下げていく。

取材・文/岡本大介

第37話は実質的な最終回。いちばんの戦力を注いだ 放送終了から3ヶ月以上が経ちましたが、周囲からの反響はいかがでしたか? 木村 最終話付近でアニメの話題がTwitterトレンドに入って、驚きましたね。全39話の長編作品ではなかなかないので、「最後まで観てくださったんだな」と素直に嬉しいです。 原作はもちろん、テレビアニメも国民的なシリーズに成長した感じがありますよね。 木村 そうですね。僕は『黄金の風』(アニメシーズン4)の放送中に結婚式を挙げたんですが、10年ぶりに会った知人や親戚から「『ジョジョ』、観てるよ」と声をかけられました(笑)。僕がアニメ関係の仕事をしていることすら知らなかったはずなのに…。『ジョジョ』の力は絶大だなと感じましたね。 髙橋 僕はSNSをやらないので正直、視聴者さんからのリアルな反響というのはよくわかっていません(笑)。ただ、スタッフのみなさんが最後まで士気を落とさずに頑張ってくれて、今でも本当に感謝しています。 現場作業のピークはどのあたりだったんですか? 髙橋 ジョルノの覚醒したスタンド、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムが登場する第37話『王の中の王(キング・オブ・キングス)』だと思います。第38話『ゴールド・E(エクスペリエンス)・レクイエム』と第39話『眠れる奴隷』は少しスパンが空いてからの2話連続放送でしたから。 第37話が7月5日に放送され、第38・39話が7月28日に放送。3週間ほど空きましたね。 木村 最後の2話は特別編というか、作り手としてはどこか“お祭り”的な感覚が強かったので、僕らにとっては第37話が実質的な最終回でしたよね。 髙橋 木村さんの担当回でしたが、はたから見ていてもヒシヒシと気合いが伝わってきました。 木村 第37話はスタッフ的にもいちばんの戦力を注ぎ込んでいて、まさに総力戦といった感じでしたね。

▲第37話で、主人公ジョルノのスタンドが進化。敵のボス、ディアボロを圧倒した。

▲ジョルノに敗れ、第38話で“無限に”死に続けるディアボロ。シリーズ屈指の悲惨な最期を迎えた。 最終話はまるまるプロローグという内容で、シリーズでも異色のクライマックスでした。原作通りではありますが、演出的には苦労したのではないですか? 髙橋 原作通りの流れでやるかどうか、最初に少しだけ検討したんですが、やはり最後に入れるのがふさわしいだろうという結論に達しました。

第5部のテーマは“運命”ですから、第39話『眠れる奴隷』のエピソードを最後に持ってくることで、繰り返し観た際にテーマをより強く感じられるんじゃないかと思ったんです。 木村 そもそもですが、アニメで原作の設定や構造を変えている部分ってないんです。キャラクターの過去エピソードを増やしたり、必要に応じて場所を変更したりはしていますが、改変しているわけではない。だからこそ、エンディングについても原作準拠が望ましいだろうと。

▲最終回となる第39話では、持ち主の運命を告げる奇妙な「石」のエピソードが描かれた。 キャストの「ジョジョ愛」の強さに驚かされた 今のお話からも制作チームの“原作愛”を感じますが、キャスト陣の思い入れはいかがでしたか? 木村 それはもう強かったです。みなさん完全にキャラクターを作り上げてきていらっしゃるので、収録時のリテイクがほとんどないんですよ。 なかでも、とくに“ジョジョ愛”が強いと思ったのは誰ですか? 髙橋 みなさん本当に熱量が高いんですが、あえてひとりを挙げるなら、僕はアバッキオ役の諏訪部(順一)さんです。収録中もセリフの解釈について指摘をもらって、僕らが「たしかにそうだ」と納得したこともありますから(笑)。 木村 諏訪部さんはアバッキオが好きすぎるんですよね。当初、諏訪部さんはディアボロ役でもハマるんじゃないかと思って提案したことがあるんですが、頑として「アバッキオ役じゃないと出演しない」と(笑)。

▲チームのブレーキ役でもあるアバッキオ。序盤は新参者のジョルノと衝突していたが、次第に信頼を寄せるように。 印象的だったアフレコ時のエピソードはありますか? 髙橋 小野(賢章)さんは「無駄無駄ラッシュ」に対してかなりこだわりを持っていて、本編の収録でも「もう1回やらせてください」と何度も録り直しをしたことがあります。 木村 僕が小野さんのお芝居で覚えているのは第19話『ホワイト・アルバム』の最後で、朝日をバックに「ミスタ…あなたの『覚悟』は…この登りゆく朝日よりも明るい輝きで『道』を照らしている」という決めゼリフです。

ここは小野さんの希望で何度もやり直されていて、そのこだわりに作品への愛情と気合いを感じました。

▲第19話で、主人公の“格”を見せつけたジョルノ。ジョルノ役の小野賢章にとっても、思い入れのあるシーンとなった。

▲第31話で、ジョルノは敵のチョコラータ(CV:宮内敦士)に対して“無駄無駄ラッシュ”を披露。小野は、約30秒間にわたって「無駄」を叫び続けた。 ミスタのスタンド「セックス・ピストルズ」の6体は、すべて鳥海浩輔さんが演じているんですよね。 木村 そうです。ナンバーごとに性格が違ったりもするので、6体すべてを別録りにして、最後にそれをミックスして使っています。

もともとおしゃべりなミスタに加えて、さらに6体を演じているので、セリフ量で言えばジョルノやブチャラティ(CV:中村悠一)よりも断然多くて、負担は相当だったと思いますね。

▲セックス・ピストルズは、それぞれ性格もバラバラ。ミスタ役の鳥海浩輔は、計7キャラクターを演じ分けた。 監督オファーは本気でドッキリだと思った ここからは、おふたりがいかにして『黄金の風』に関わっていったかを教えてください。『ジョジョ』シリーズに関わるのは、おふたりとも今回が初めてですが、原作やアニメシリーズについては、どの程度注目されていましたか? 髙橋 僕は学生時代から原作を読んでいて、大好きな作品でした。

それもあって、もしアニメを観て違和感を抱いたら嫌だなと思って、放送当初は少し避けていたんです。ただ、そうは言ってもやっぱり気になって『ファントムブラッド』を観たら、めっちゃ良くてビックリしました(笑)。 それ以降はアニメもチェックするようになったんですか? 髙橋 いえ。当時は自分が関われるなんて夢にも思っていなかったので、アニメスタッフへのリスペクトを感じつつも、どこかで距離を取っていました。

しっかりと観ると嫉妬してしまうというか、自分が関われないことが悔しくなる。 では監督のオファーが来たときにはかなり嬉しかったのでは? 髙橋 最初は本気で“ドッキリ”だと思いましたね(笑)。

ずっと疑っていたんですが、アニメーションプロデューサーの笠間(寿高)さんとお会いしたことで初めて「本当にやれるんだ」って(笑)。『黄金の風』はとくに好きな部でもあったので、とても嬉しかったです。 木村 僕は『週刊少年ジャンプ』を読んでこなかった珍しいタイプの人間なので(笑)、未読のまま大人になりました。ただアニメシリーズはリアルタイムでほぼすべて追いかけていて、いち視聴者として楽しみにしていたんです。

監督のオファーが来たのがちょうど『ダイヤモンドは砕けない』の放送が終わる2016年の年末。「『黄金の風』もやるよな。いったい次はどんな話なんだろう?」って思っていたので、まさに青天の霹靂でした。 では、そこから改めて原作をお読みに? 木村 そうです。原作未読のままアニメを新鮮に楽しみたいという気持ちもあったので、オファーを受けたときは「原作読まないとな…」と、ちょっと複雑な気持ちでした(笑)。 実際に原作を読まれた印象はいかがでしたか? 木村 最高に面白かったです。でも、じつは読む前はちょっと不安だったんですよ。 どうしてですか? 木村 「原作は未読」と言いましたが、実際は友達の家でちょこちょこ読ませてもらう機会があったんです。でも子どもだった僕は、密度の濃い絵柄や情報量に頭が追いつかず、投げ出した経験があって(笑)。

でも今回Kindleのカラー版で読んだら、子どものころにはわからなかったアレコレがスイスイと頭に入ってきて、とても楽しめたんです。単に僕の理解力が上がったのかもしれませんが、カラーで読めたことも大きかった。

「これをフルカラーでアニメにできるんだ」とやりがいも感じましたし、ワクワクしましたね。 総監督から授けられた「『ジョジョ』はプロレス」との言葉 監督を務めるにあたり、津田尚克総監督とはどんなお話をされましたか? 木村 津田さんが「ジョジョはプロレス」と言っていたのが印象深いですね。

何か策を講じて、相手がそれにハマったと思ったら、今度はさらに相手がそれを上回る策を講じる。ジョジョのバトルはその連続で積み上がっていくじゃないですか。それが“プロレス”的だと。

最初に絵コンテを書いたとき、「みんな『なにィーッ』って言いすぎじゃない?」って思いましたし(笑)。今考えれば、すごく『ジョジョ』らしい様式美のひとつなんですが、まだ慣れていない時期だったので「これでいいのかな?」とひとりで不安になっていました。

▲木村監督の言葉通り、『ジョジョ』では「なにィーッ」や「ば、バカな」といった驚くシーンが多用されている。 髙橋 僕が津田さんの言葉で覚えているのは「ルネッサンス」ですね。 「芸術復興」という意味の、「ルネッサンス」ですか? 木村 そうだと思います。初心に返れという意味なのか、ルネッサンス的な芸術美を追求しろという意味だったのか…。 髙橋 途中ですぐに言わなくなったので、真相は今でも闇の中なんです(笑)。 いつか真意を聞いてみたいですね。ほかに津田総監督から言われたのはどんなことでしょうか? 木村 “現実のイタリア”より“イタリアっぽさ”を大切にしてほしいと言われましたね。 どういう意味でしょう? 木村 イタリアに行ったことはなくても、多くの人の頭の中にピザやパスタ、ワインといったイタリアのイメージはありますよね。

現実のイタリアのレストランではピザってあまり置いていないんですが、アニメは“イタリアっぽさ”を大切にしているので、ピザがあっていいんです。

荒木(飛呂彦)先生もイタリアを取材されたうえで描いていますが、随所でそういう“っぽさ”は大切にしているんですよ。 なるほど。みなさんもロケハンでイタリアに行かれていますが、そのうえで“っぽさ”を意識しているんですね。ちなみにロケハンはいつ行ったんですか? 木村 2017年の7月25日に出発しました。たしか8~9日間の日程でした。 髙橋 スゴい! よく覚えてますね。 木村 現地がものすごく暑かったので覚えているんです。熱波注意報が出ていたくらいでしたから。 木村監督は本編の放送中にロケハン時の写真をTwitterに投稿されており、ファンのあいだで話題になりました。 木村 『黄金の風』をアニメ化するにあたり、聖地巡礼をしやすくしようというのは最初から目標にしていたことだったんです。それこそ聖地巡りだけでイタリアツアーが組めるくらいのものにしたくて。

フーゴの過去描写は、荒木先生のアイデアを膨らませた シナリオや絵コンテといった実作業は、いつごろから着手されたんですか? 髙橋 ロケハン前に構成だけは決めてあって、本格的にスタートしたのはロケハンから帰ってきてからですね。 木村 だから、ロケハンのときはかなりフワッとした気持ちでしたよね。 髙橋 そうそう。戻ってきてからようやく「『ジョジョ』の監督をやるんだ」というプレッシャーを感じ始めました。 木村 そもそも僕らふたりはこれまでのシリーズにまったく関わってこなかったので、「自分に『ジョジョ』の絵コンテが描けるのか?」という不安もあったんですよね。 髙橋 ありました。最初の絵コンテ作業がいちばんプレッシャーを感じました。僕は第2話『ブチャラティが来る』、木村さんは第3話『塀の中のギャングに会え』を担当したんですが、そのときは津田さんからのプレッシャーも半端なかったです。

▲髙橋監督が初めて『ジョジョ』の絵コンテを担当した第2話。ブチャラティが登場する。

▲木村監督が初めて『ジョジョ』の絵コンテを担当した第3話。ギャング入団試験が描かれる。 『ファントムブラッド』から『スターダストクルセイダース』で監督を務めてきた津田総監督は、今回、1話のコンテ・演出を担当されて以降は、数話でコンテや演出に関わっているのみです。役割としては仕上がりチェックのような感じだったんですか? 髙橋 そうですね。序盤は僕らが上げたものをつぶさにチェックしてもらっていたんですが、途中からはかなり任せてもらえるようになっていきました。 おふたりが一緒に仕事をするのも今回が初めてだと思いますが、演出家としてのお互いの印象はいかがですか? 髙橋 制作作業に入ってすぐのころ、木村さんの描きかけの絵コンテを見たことがあったんです。第3話の冒頭シーンだったんですけど、それがめっちゃオシャレで驚きました。 木村 最初の絵コンテだったので、僕なりにイタリアっぽいオシャレさを狙って頑張っていたんです。 髙橋 隣にいた津田さんと「むしろオシャレすぎじゃない?」って話していましたよ(笑)。 どんな部分にオシャレさを感じたんですか? 髙橋 ごく普通の日常シーンなんですが、その切り取り方がセンスに溢れていたんですよね。木村さんはOPもPVもやられていますし、第5部のビジュアル面に関しては最初から最後まで頼りきりでした。

木村監督から見た髙橋監督はどんな印象ですか? 木村 絵コンテを見て思ったのは、すごくロジカルで緻密な方だなと。細かい演出を丁寧に積み上げていく、まるで詰将棋のような作り方なんですよね。

とくにそれを感じたのが第28話『今にも落ちて来そうな空の下で』ですね。 アバッキオの退場回ですね。 木村 そうです。あくまでアバッキオがメインではありつつも、ほかのキャラクター全員の感情をうまく積み上げていって。だからこそ、あそこまで泣かせるフィルムになったと思うんです。

僕はあそこまでの我慢はできないので、きっともっと手前で決壊すると思います(笑)。それで言えば第2話のジョルノの回想シーンなどもとてもうまくて、僕には描けないなと思いましたね。

▲第28話のタイトルと連動した空のカット。放送時、描写の美しさも話題となった。

▲アバッキオが死ぬ直前のひとコマ。表情や構図、背景の雲など、細かいこだわりが見られる。 おふたりはまったく違う個性を持った演出家なんですね。 木村 そうだと思います。

タイプの違うふたりが揃ったのはたまたまだとは思うんですが、今回はそれがうまいことハマりましたね。 それぞれ担当する話数はどのように振り分けていったんですか? 髙橋 ふたりで話し合って決めたんですが、お互いに自分が得意なエピソードや好きなエピソードを選んでいったら、自然と明確に分かれました。

結果的に回想シーンはほとんど僕ですし、アクションは木村さんが多めになりました。 回想シーンに関して言えば、今回はアニメオリジナルのエピソードも多かったように思います。これらはどのようにして作られたんですか? 木村 ちょっとしたものであれば、こちらが作ったものを荒木先生に確認していただきますが、大きなところは先に荒木先生からアイデアをいただくこともありました。

いちばん大きなオリジナルはフーゴ(CV:榎木淳弥)の過去についてで、あれは「フーゴの過去にはどんなことがあったんでしょうか?」とお聞きして、それをもとにしてシナリオにしています。

▲原作では深く追求されなかったフーゴの壮絶な過去は、ファンのあいだでも大きな反響を呼んだ。 ナランチャが好きすぎて監督のオファーを快諾 おふたりが個人的に好きなキャラクターは誰ですか? 髙橋 これはインタビューのたびに言っていますが、ナランチャ(CV:山下大輝)一択です。 木村 毎回聞いているので、すっかり「髙橋さん=ナランチャの人」のイメージになってきました(笑)。 髙橋 あながち間違いでもないですよ。僕はナランチャのために監督のオファーを受けたと言っても過言ではないですから(笑)。

本編中のナランチャエピソードはすべて担当させてもらったので、個人的にはそれだけでも大満足なんです。先ほど木村さんの話に出た第28話も、僕としてはアバッキオ回であると同時に、ナランチャ回でもあると思っているんですよ。 アバッキオの死を受け入れられないナランチャの姿は、山下さんの演技もあいまってシリーズ屈指の名シーンとなりました。 髙橋 そうなんですよね。山下さんは以前に別の作品でもご一緒したことがあって、そのときも泣きのお芝居がすごくうまいなと感じていたんです。

だからここもイケるなと思い、原作よりもナランチャの芝居を膨らませました。

▲感情を素直に見せるナランチャは、シリーズを通して見せ場も多い人気キャラクター。 木村監督が好きなキャラクターは? 木村 今はミスタが好きです。勘やノリで生きているところや能天気な性格など、僕らが思い浮かべるイタリア人っぽくていいですよね。

それでいて初対面のジョルノの本質をすぐに見抜いて信用するなど、人間的にも魅力的ですし。スタンドが銃というのもすごくカッコよくて、大好きです。 ミスタで好きなシーンはありますか? 木村 第30話『グリーン・デイとオアシス その1』で、ジョルノとミスタのふたりで銃を撃つシーンが好きですね。

通常のミスタが撃つ弾丸は、弾道の軌跡に青色を付けているんですが、あそこのシーンだけはジョルノの黄金色にしているんです。

そういう細かい部分の色を演出できるのはアニメならではなので、作業していてもアツかったです。

細かいことですけど、ジョルノはミスタのことを最初は“ミスタさん”って呼んでいるんですけど、あるときから急に“ミスタ”になったのが、個人的にはツボなんです(笑)。

▲明るい性格が持ち味のミスタ。第34話では、ディアボロの娘トリッシュ(CV:千本木彩花)と体が入れ替わってしまう。その際のコミカルな演技が笑いを誘った。

▲第30話では、ミスタとジョルノのコンビ技が登場。セックス・ピストルズにも変化が見られる。 話題になったOPのジョルノの後ろ姿は、木村監督の発案 弾道の色変化のお話が出たついでにお聞きしますが、画面の色味が一瞬で変わるなど、色による演出が印象的でした。 木村 画面の色がシーン単位で丸ごと変わるのを「シーン特色」、カット単位でピンポイントに変わるのを「カット特色」と呼びますが、『ジョジョ』では『ファントムブラッド』からどちらも使われているんです。 髙橋 基本的にはバトルの決着がつきそうなタイミングでシーン特色を多く使っています。「ここからクライマックスに向けて加速していきますよ」ということを表現するための演出で、これは『ジョジョ』シリーズを通じての特徴でもありますね。

▲シーン特色の一例。画面全体の色に変化が起こっている。

▲カット特色の一例。通常カラーのシーン内で、ワンカットのみ特色カットが差し込まれる形式。 そうだったんですね。シリーズの特徴と言えば、OPの特殊演出も毎回話題となりますよね。 木村 『黄金の風』のOPは僕が作っているんですが、当初の構想では最後のGERverはありませんでした。

でもディアボロverに切り替わるのが第34話で、そこから最後まで同じだとちょっと飽きるかなと思い、何かひと捻りしたいとGERverを作りました。 ジョルノの後ろ姿をDIOに似せているのも木村監督のアイデアですか?

木村 そうです。

原作だと、ジョルノがDIOの息子であるという設定ってあまり強調されないじゃないですか。でも、ローマに入ってからのジョルノはかなりDIOっぽい表情を見せているんですよね。ビジュアル的にも、覚醒すると髪の毛にウェーブがかかりますし。

だからここで重ねてみたら面白いかなと思ったんです。 ファンも大満足のOPになりましたね。 木村 盛り上がっていただいて本当に良かったです。 髙橋 でも『ジョジョ』シリーズのOP&EDって、どんどんハードルが上がって大変なことになってきましたね。 木村 止めようにも後には引けない状態なんですよね(笑)。

▲『黄金の風』のOP映像のひとコマ。物語の展開に合わせて、シーンが差し替わる“特殊演出”はこのシリーズの特色だ。 チョコラータ戦の塔が見つからず、原作を手に探し回った 本編を描くうえで、ロケハンがすごく役に立ったと感じたのはどんな部分ですか? 髙橋 僕は日常シーンを担当することが多く、その際に料理を出したがるタイプなのですが、そこはイタリアでのロケがすごく役立ちました。たとえば第19話『ホワイト・アルバム』で、ブチャラティとミスタがブルスケッタを食べるシーンなどがそうです。

ここはアニメオリジナルの回想シーンなので、最初はパスタかピザにしようかとも思ったんですが、ロケハンの際に食べたブルスケッタを思い出して、こちらにしたんです。ブチャラティの「ブルスケッタを4つ…いや、やはり5つにするか」というセリフは、パスタを注文していたら生まれなかったと思います。 「4」という数字を忌み嫌うミスタの性格がよく表れたシーンでしたが、ブルスケッタのおかげなんですね。 髙橋 そうです。ふたりで4つを注文することが不自然ではないメニューとしてブルスケッタを入れられたのは、まさにイタリアで実際に食べたことがあったからだと思います。 そうだったんですね。逆にロケハンの際に困ったことなどはありましたか? 木村 第1話『黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)』と第2話『ブチャラティが来る』に登場する路面電車は苦労しました。

原作に描かれている車両は古くて残っておらず、しかもちょうどロケハン時にストをやっていて、電車に乗ることすらできなかったんです。 ではあのシーンは想像で? 木村 それが、運良く同じタイプの車両を掲載しているブログを見つけまして(笑)。それを参考に描いたりしました。あとチョコラータ戦でヘリを捕縛した塔もなかなか見つからず、あれも苦労しました。原作を手に探したんですが、その場所には塔らしきものはないんです。

いろいろと考察して、きっとベネツィア広場から近いところにあるんじゃないかと仮説を立てて探した結果、ようやくミリツィエの塔を発見したんです。 モデルとなった塔を自力で発見したんですね。スゴいですね。 木村 本当に幸運でした。

▲『黄金の風』では、建物もキャラクターの一部。ブチャラティがボスを裏切る第21話では、船着き場の階段が、チームの切ない別れを盛り上げた。 荒木先生の頭の中には、一連の映像ができている 裏話をたくさん教えていただきましたが、制作していくなかで、アニメーター陣から“ジョジョ愛”を感じることはありましたか? 髙橋 もちろんあります。個人的な感覚で言えば、男性陣よりも女性陣のほうが“ジョジョ愛”というか、主張が強かったように思います。「リゾット・ネエロ(CV:藤真秀)が好きだから、ぜひ退場回のカットを描かせてくれ。もう描ける機会がなくなってしまうから」とか。 木村 「暗殺者チーム」って、女性陣に意外と人気があるんですよね。 髙橋 そうですね。どんな敵キャラにもそれぞれファンがいることに驚かされます。 木村 もちろん僕らも『ジョジョ』が好きなんですけど、アニメーターさんたちはそれ以上の熱量なので、あえて少し引いた目線でジャッジしていくことも多かったと思います。

たださすがと言うべきか、こちらから何も言わなくても『ジョジョ』らしいツボを押さえた絵がどんどん生まれてくるので、その点は本当に助かりました。

▲スタッフからも人気が高かったというリゾット。磁力を操り、鉄分を刃物などに作り変えられる「メタリカ」のスタンドを持つ。

▲リゾット率いる暗殺者チームの面々。ジョルノたちの行く先々で死闘を繰り広げた。 シナリオチームはいかがでしたか? とくにシリーズ開始からシナリオを担当されている小林靖子さんとはどんなお話をされましたか? 髙橋 小林さんはずっと「キング・クリムゾン(ディアボロのスタンド)が何をやっているのかわからない」とおっしゃっていましたね(笑)。 木村 津田さんに「わかりやすく絵に描いて説明して」って頼んでました(笑)。 ボス戦については、何をやっているのかちゃんと理解できている人はあまりいないかもしれません。 木村 僕も子どものころに匙を投げていますから(笑)。でもだからこそ、誰にでもわかるようにアニメで表現するというのは今回のミッションのひとつでもあったんです。 実際に、アニメではすごく理解しやすくなっていて驚きました。 木村 でも原作からほとんど何も変えていないんです。原作をきちんと読みこんだうえでコマとコマのあいだを埋めていけば、自然とこのアニメの動きになるんです。 髙橋 きっと荒木先生の頭の中にはきちんとした一連の映像があって、それをコマとして抜き出してマンガにしていると思うんです。本作で多少なりとも再現できたのなら、それだけでアニメ化した意味がある。そこはやっぱり動画ならではの強みですよね。 最後に、おふたり自身が感じる『ジョジョ』シリーズの魅力についてお聞かせください。 木村 昔ながらの少年マンガ感ですね。

「任務は遂行する。部下も守る~」のような、強いセリフがちゃんとカッコよく聞こえる作品って今はあまりないような気がしますし、そこにすごくマッチョイズムを感じますね。 髙橋 どれだけ過剰な演出を盛り込んでも胃もたれしない作品って、『ジョジョ』くらいしか思い浮かびません(笑)。

キャラクターやセリフの強度がとことん強いので、どんな演出にも負けないんです。「もっといける」と思わせてくれるので、作り手としてもすごくやりがいがあります。 木村 『ジョジョ』の演出に慣れると、ほかの作品ができなくなる気がしません? 髙橋 そうですよね! 何をやっても、つい物足りなさを感じてしまうんですよね(笑)。

▲第38話の重要シーン。命を落とした仲間たちを思うジョルノの姿が、ドラマティックに描かれた。 木村泰大(きむら・やすひろ) アニメーション演出家、アニメーター。大学卒業後、2010年よりアニメーターとして活動を開始。主な演出作品は『世界征服~謀略のズヴィズダー~』、『蟲師 続章』、『美男高校地球防衛部LOVE!』、『銀魂°』、『CHAOS;CHILD』など。2016年『三者三葉』で初めて監督を務める。好きなジョジョキャラクターはプッチ神父(原作第6部登場)。 twitter(@namachu) 髙橋秀弥(たかはし・ひでや) アニメーション演出家。2004年、『蒼穹のファフナー』の制作進行として業界デビュー。以降、演出助手を経て演出家に。主な演出作品に『To LOVEる -とらぶる-』、『夏目友人帳 参』、『ソードアート・オンライン』、『フューチャーカード バディファイト』シリーズなど。『ポケットモンスター THE ORIGIN』で各話監督を、『競女!!!!!!!!』でシリーズ監督を務める。好きなジョジョキャラクターはイギー(原作第3部登場)。

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Trivia

  • Kimura's favorite character from the series is Guido Mista. In particular, he appreciates the character's way of thinking, sense of humor and good-natured personality, as well the fact his Stand revolves a gun.[3]
  • His favorite scene in Golden Wind is when Mista and Giorno combine their abilities to stop Cioccolata's helicopter in GW Episode 30.[3]

References

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