Otsuichi

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Otsuichi (乙一 Otsuichi) is the pen name of the novelist and film director Hirotaka Adachi (安達 寛高 Adachi Hirotaka).

He is the author of the novel The Book: JoJo's Bizarre Adventure 4th Another Day and the short story Iggy the Stray Dog.

History

Otsuichi was born in the town of Tanushimaru situated in Fukuoka Prefecture, Japan. He started writing novels at the age of 16. His debut work was Summer, Fireworks, and My Corpse in 1996 which won a novel award in Weekly Shonen Jump. He later graduated from the Toyohashi University of Technology in 2002. He continued to write light novels during his time in university.

Otsuichi and Hirohiko Araki holding Otsuichi's "The Book"

In the year 2000, Otsuichi was visiting by Shueisha's editorial department where he learned about the Part 5 novel getting published. As Part 3's novel had been published a few years ago, he went to ask one of the editors about a Part 4 novelization. He also requested to write the Part 4 novel if nobody else was there to write it. His request was accepted and he started writing manuscripts for the novel in the year 2000, but he ended up writing a 400-page manuscript that he eventually wasn't happy with. In 2002, a rough 30 page draft of a novel titled The Anatomy Lesson of Dr. Nicolaes Tulp was released in Yomu Jump (a special novel-based issue of Weekly Shonen Jump) along with a full release date in February 2003. However, the novel ended up proving difficult to complete. In the annual Japanese guidebook, Kono Mystery ga Sugoi 2004, Otsuichi claimed to have written over 2000 pages, but had thrown them all out.[2] Since he wasn't writing or publishing any books at that time, he took a different job to earn a living in the interim while he worked on the novel.

Dedicated to write a novel which lived up to the manga, it took him until 2007 to complete it, which ended up becoming 4th Another Day.[3] The finished novel was then released to coincide with the 20th anniversary of JoJo's Bizarre Adventure.

Interviews

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Missing translation
Magazine
Interview
Published December 3, 2002

「僕にジョジョのノベライズをさせて下さい。大好きなんです!」そのひとことが、漫画界の巨星・荒木飛呂彦先生と小説界の若き俊英・乙一先生を出逢わせた・・・。

荒 最初、「乙一」って「おといち」さんだと思ってました。

乙 「おといち」でもうばっちりです。「きのとはじめ」と読んだ人もいますから。

編 乙一さんは、子どもの時、少年ジャンプの発売を待ちこがれて買いに行ったほうですか?

乙 行ってました。福岡は火曜発売だから月曜発売のところが羨ましくてしかたなかったです。

編 やっぱり『ジョジョ』を・・・。

乙 読みます。

編 『ジョジョ』をそんなに気に入ったところって、どこですか?

乙 ほかの作品にない、何かがありましたね。

編 荒木先生は「ほかの作品と自分の作品はこう違うんだ」というものは・・・。

荒 ないですね。ただ、何かね、僕は人から誤解されることがすごく多いんです。例えば兄弟の中ではね、妹が悪いのに僕のほうが怒られたり、無実の罪というか、そういうのが子どものときから多いんです。あと、何か学校で事件があったとすると、容疑者が僕だったりとか、何か日ごろの言動のせいかもしれないんですけど・・・。漫画も「100%理解されてないのかな」というのがしょっちゅうあって。でも、もうなれてしまって、それでもいいかなという感じで、無理に合わせようとしないんですよね。例えば編集部とかもこうしろとかって言ってくるんですよ。だけど、できないときはちょっとこのまま行くかなみたいな。貫くと言えば格好いいかもしれないけど、何というか、気にしないことにしている。そうすると、自然とこういう感じになるのかなというのもあるんですけど。

乙 僕は編集の人からは、何も言われませんね。

荒 それはいいですね(笑)。でも、無実の罪とかあんまりないでしょう。

乙 いや、ありますよ。それがほんとうに苦痛になって、一本書きました。

荒 あるんだな、やっぱりみんな。

乙 僕はクラスで全然しゃべらないんですよ。それで、ずっと黙っていると、相手が勝手に僕のことを想像するわけです。僕がずっと黙って座っていると、何かこんな人間なんじゃないかとか、勝手に思われていて・・・。それに全然クラスメートとコンタクトはなかったので、普通に生活していると、いつの間にか、全然自分の知らない僕のイメージができ上がって、いろいろな誤解を・・・。

編 例えば根暗なんて言われてた・・・?

乙 根暗。それは正解ですけど(笑)。

荒 誤解じゃないんだ!

乙 研究室配属のいざこざがあって、ちょっと僕が不正をしたような、だめな人間のやることをやったようなふうに誤解されて。でも、あんまりクラスメートとかコンタクトはなかったので、それは誤解だというふうに弁解する相手もいなくて、まあ、しようがないかなと思いつつ、過ごしたりして・・・。多分、今でもそんなふうに思われているんじゃないでしょうか。

荒 でもね、無実の罪もずっとやっているとね、あるとき認められるときがあるんですよ。それを知ると、誤解されていても、何かちょっと時期を待とうかなとか、それを学んでくるんですよ。漫画家になったときに、ちょっとそれを学んだんですよ。学んだというか、そういうものなのかと思うんですよ。認められたのは、やっぱり漫画だったんですよ。少年のときはほんとうに誤解されることが多くて、だけど、何か自分の好きなことで少年ジャンプで賞とかに入ったら、これでいいのかなと思ったとき、それが始まりだったかもしれないですね。やっぱり自分を変えないほうがいいというか、変えなくても、やり続けていると、二年後とか三年後に、だれか理解してくれる人とかが出てきたりとかするんですよ。

編 乙一さんは、ジャンプ小説大賞で大賞をとられてから、何冊か話題の本を出されて、今では世の中に認められた存在ですが、どこか自分の中での変化を感じることはありますか?

乙 うーん、何か微妙です。

編 微妙。

乙 変わらずに、そういうコンプレックスを、恨みみたいなものを、ずっと持っていたほうが、書く原動力になるような気もするし、そうやって認められてよかったという気持ちもあるし・・・。

荒 でも、乙一さんはすごい若くして認められていますよね。最初の作品とかは、友達みんなが「これは面白いな!」とかっていう感じだったんですか。 乙 いいえ。僕の身の回りには、そう言ってくれる人はいなくて、いろいろな人にも黙っていて。

荒 でも、手ごたえみたいなものがあって、「これはいける」という感じじゃないんですか?

乙 賞をもらった時は、何かの間違いだと思いましたね。むしろ「やばい」って・・・。それに受賞した作品は、幼い子供が死体を隠しまわる話ですから、親にすごく心配されました。

荒 それはあるよな。うちのおばあちゃんは、僕が上京したときに、東京で殺人事件とかが起こるとニュースが全国に流れるじゃないですか。犯人は僕だと思って、いつも仏壇に「違いますように」と願ったらしいんですよ。「何で?」って思いますよね。日ごろ殺人の話とかをしているからなんでしょうかね(笑)。 荒 今回のノベライズは少年のキャラクターがいいですよね。これも何か少年の、ある意味、ハリー・ポッター的な成長話というのになっているんですよ、これも。少年がどんどん成長していく話になっていて、そこがもう最高にいいんですよ。これは。多分、読んでないですけども、さっきの兄弟が死体を隠すやつも、そういうふうになっているんじゃないかな。隠しながらも、少年が成長していくって。

乙 なってないですよ(笑)。

荒 そうですか(笑)。

乙 今回書いていて、本当に思ったことは、荒木先生は漫画に何か父性的な感じがするんですよ。

荒 そうなの?

乙 自分の小説の中には、母性的なイメージが自分で見ていてつきまとっていたんです。他社から出した小説とかで。ですから、今度は読者が僕の小説を読んでどう思っちゃうんだろう・・・、そんな気持ちをずっと抱いていました。僕はどう書けばいいんだろうという感じで。

荒 僕は「父性的」というイメージはわからないけれども、でも、自分なりに書いたほうがいいと思うんです。母性的なら母性的なほうに持っていったほうが。

乙 荒木先生が、だれでしたっけ、好きな映画監督で、よくジャンプの目次のページに・・・・・・。

荒 マイケル・マン!

乙 はい。あんな感じの、男対男という戦いがあって、ジョン・ウーの銃を突きつけ合う感覚みたいなのが、僕の考える『ジョジョ』の中にあって、女の子が入る余地のない感覚というのがあるんですけど、僕の書く小説は、何かちょっと女の子が主人公になるパターンが妙に自分で考えて多かったんですよ。こんな『ジョジョ』は女々しいと思われるんじゃないかとかと思って。今回の話も少年がいて、母親がいて、ちょっと女々しいことを考えていて、こんなものを読んで大丈夫かなとか・・・。

荒 それは全然大丈夫だと思いますけど。なるほど、そういうことか。

乙 はい。

編 今回、四部をノベライズしていただきましたが、乙一先生は何部がお好きですか?

乙 どれも好きですね。

荒 でも、乙一さんという名前を聞いて、四部というイメージはすぐパッと来て、ああ、なるほどと思ったんですよ。大体、話が来たときに、何かね、ちらとその人の好みというのがわかるときがあるんですよ、片鱗が。例えばゲームなんかでは、絶対、こいつ、使わないだろうなというキャラクターとかを出したいとかって言ってきたりするんですよ。そのときに、「あっ、この人はこういうことを考えているな」というのがわかるんですよ。

編 普通、ノベライズといったら、それなりのキャラクターというのはみんな出てくるんですよね。

荒 そうですね。

乙 今回は、仗助だけ。でも、もっといろいろな作家さんが四部のノベライズを書けば面白いんじゃないかとか思いましたよ。四部は可能性がすごく残されている感じがします。

荒 そうですね。でも、この作品は、もう殺人鬼の吉良吉影が死んだあとの・・・。時間的にそうですよね。

乙 そうです。そういえば、仗助はその後はどうなったんですか? 進路とか。

荒 だから、そこで世界は閉じてて永遠の時を刻んでいるから。だからこそ、乙一さんが書けるんですよ。どこかに出てきちゃだめなんです。康一君はそういう語り部なんで、出てきたりしますけれどもね。

編 先生は、スタンドをお書きになるときに、必ずロックバンドの名前を・・・・・・。

荒 今回は悩んでんだよね。

編 そんなにやっぱりロックばっかりお聴きになっているんですか。

荒 いや、そういうわけじゃなくて、何かね、統一したいんですよね。そうすると、マニアがね、知っている人も知らなくても、何かこうくすぐられるところがあるというか。

編 乙一さんは、ロックはあんまり聴かないんですか。

乙 あんまり聴かないです。でも、『ジョジョ』を読んで知っちゃったんですよ。レコード屋に行って、「あっ、ジョジョで出てきた人だ」とか思って。

荒 そうですね。スタンドの名前がわからない人は別にわからなくていいんですけど。でも、今回のスタンドの名前、乙一さんに頼まれているから、ちょっと悩んでいる、どうしようかなって。乙一さんの作品を、壊しちゃいけないなとも思うし・・・。

乙 名づけ親、よろしくお願いします。

荒 考えてみますけど・・・。

[4]

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Book
Interview
Published November 26, 2007

―― Now that you've read『The Book』, what do you think of it?

Araki: The last scene really moved me. The suspense builds up over the course of the story, the resolution is really intense, and then the ending is quite sad. It's a really rich ending that differs from the usual happy ending of a lot of stories. I think it fits Morioh and Otsuichi perfectly.

Otsuichi: …"Rich ending"… That's nice to hear.

―― How do you feel about your works being turned into novels?

Araki: I think it's perfectly fine. An author with a lot of ability turning one of my works into a novel is extremely interesting. This time in particular I was really able to to enter the world of 『The Book』.

―― Enter the world of 『JoJo』?

Araki: Yes, I was felt like I was able to fit into the world, or perhaps pulled in is a better way to describe it. I was able to become Otsushi-san's Josuke. I haven't read many novelizations of manga, so I may be misunderstanding some authors' intent, but there are times when I think "Well, this is a bit different from the original..." 『The Book』, on the other hand, feels like a properly written and ripened work. How long did it take you to finish it again?

Otsuichi: How long... probably about 5 years? I have a huge pile of rejected manuscripts. I think ultimately I ended up with over 2000 pages of rejected manuscripts. Despite that, these 5 years feel like they've gone by really fast.

―― Writing for 5 years and 2000 rejected manuscripts. That's quite impressive.

Otsuichi: I wasn't using the characters of 『JoJo』 freely enough. In other words, it was as if the characters I was using were like puppets, which made them feel off. It made me realize that I needed to rethink my approach and so I used these manuscripts as a way to refine my strategy for writing. I thought that I would only be able to do something like this once in my life, so if I put something in the book from the manuscripts that I wasn't satisfied with, I would regret it for the rest of my life. So, I kept my head low and went 5 years without releasing anything.

Araki: But I think it really paid off. It's an incredible book.

Otsuichi: I really appreciate that you drew brand new illustrations for『The Book』, but I'm also very happy that I can see the characters from Part 4 in your current style.

Araki: It's just in my nature to worry about the little details of drawings, even if it's for a novelization. Details like adding snow in the background because of the book's setting in the winter of Morioh. Or the fact that the book's original villain is someone that Josuke and the others fight, but he's not meant to give off the appearance of an evil, strong enemy. Rather, he's supposed to be like the protagonist in this small town, so his life's background is also important. The reality of that part caught my attention.

Otsuichi: All the illustrations you drew were even greater than I expected. This illustration you drew for the first few pages that just jumps out at you, this one is fantastic.

―― Otsuichi-sensei, what was interesting about the writing process for the novelization?

Otsuichi: I tried to put into some references that only fans of 『JoJo』would understand. That was really interesting. It felt like I was writing a doujinshi.

Araki: You really got a lot of use out of those references (haha). There was a feeling that you were relaxing to an extent while writing them in.

Otsuichi: In the beginning, I was opposed to using any of them all. But, that just made the story feel like a borrowed work. When I put in references, I felt like that strange feeling went away and so I decided to use them liberally.

Araki: You've been saying since a long time that you wanted to turn Part 4 into a novel.

Otsuichi: Part 3 and 5 already have novelizations, but I feel like I would've picked Part 4 even if those didn't exist. I like it, it's strange.

Araki: Don't you think it's because Part 4 is similar to Otsuichi's world? I bet there was a lot of resentful authors when 『The Book』 released.

Otsuichi: I think there's a lot of authors who would've produced a really interesting story if they novelized Part 4. Seeing how certain authors read and understood 『JoJo』would be really interesting I think... You would be able to see what part of JoJo each author liked.

―― Are the stand powers within the book (for details, go and read it!) your original creations?

Otsuichi: Yes.

Araki: Stands are certainly a reflection of one's worldview. Seen from an outside perspective, someone might think that the stand is not particularly great. If the person who made it, however, thinks "This is so cool!", then that's good.

Otsuichi: "Stands are a reflection of one's worldview...", this is a nice phrase.

―― What is your favorite character from Part 4, Otusichi-sensei?

Otsuichi: Yoshikage Kira. Although he's the main villain and a serial killer, his idea of wanting to live a quiet life was extremely surprising to me. I've even incorporated that kind of thinking into my own life.

Araki: Kira is a forward-facing character, I intended to create a sort of 'evil hero' with him. To be honest, I couldn't write this into the manga, but there's more to Kira's background. Kira's mother abused him in a way, and his father turned a blind eye to it. He felt bad for Kira so to an extent he tried to save him. It's just, if I write this into the manga he'll become a sympathetic character and it would be hard to see him as an enemy. I couldn't write that balance, or maybe it because it was a magazine for young people. But, in Otsuichi-san's story these kind of sad parts are also included, they're fairly good.

―― From the perspective of a novelist, what is the distinguishing point of 『JoJo』?

Otsuichi: I think that differs from person to person, but for me it's the production. In a normal manga, a thing or a character will be appear suddenly to surprise the reader. With 『JoJo』 however, first the environment will be established and then the character or thing is presented. It gives off a sort of creepy and exciting feeling. I really like that method of surprising the readers, so reading 『JoJo』 is pure bliss.

Araki: Thank you. Although, that's unintentional (haha).

―― From the perspective of Araki-sensei, in where lies the appeal of 『The Book』?

Araki: Within 『The Book』 there's a lot of suspense. Also, the theme of 'heritage of fate' also shows up within the book, which I think is quite good. To be able to write a new story without straying from that theme, it's to be expected from a talented a writer as Otsuichi-san.

Otsuichi: I started to pay mind to the phrase 'blood relationships' after reading 『JoJo』. A little while back, I started to like keywords like 'father' and 'child', and began incorporating the idea of 'blood relatives' into my own works.

Araki: The feeling of the Part 4 characters being placed into Otsuichi's world is another good part of 『The Book』. Part 4 characters like Josuke and Okuyasu being written so deeply, it might even be better than the original manga they came from.

―― Because you can put more detailed psychological descriptions of the characters within a novel, right.

Araki: When I was writing Part 3 and 4, my head editor told me to write a sad story. I tried to do it, but it might've been because I was too young, I was unable to do it well. All that is in the 『The Book』, however. It's the completed version of all the things I was aiming to do with Part 4, it's fantastic.

Otsuichi: That's good to hear... it gives me a sigh of relief.

[Translated by Eas]

―― 『The Book』を読まれて荒木先生はいかがでしたか?

荒木: ラストシーンがグッと来るんですよ。サスペンスがあって盛り上がって、その解決がガーッとあって、悲しくて切ないラストがある。杜王町にぴったりだし乙一さんにぴったりだし。ハッピーエンドとは違った豊かな感じがあるんですよ。

乙一: …「豊かな感じ」…いいですね。

―― 荒木先生は、ご自分のマンガがノベライズされるというのはいかがですか?

荒木: 別に大丈夫なんですよ。才能のある作家さんが小説にしてくれるのはすっごく面白いですし。特に今回の『The Book』はスッと入っていけるんで。

―― 『ジョジョ』の世界に入れる?

荒木: そう、馴染んでるんですよ。引き込まれるっていうか。乙一さんの仗助になっていて。マンガのノベライズってあまり読んだことが無いから誤解しているのかもしれないけど「ちょっと原作と違うなー」って思うこともあったんですよ。でも、この『The Book』はかなり熟成されていましたね。書き上げるのに何年かかったんでしたっけ?

乙一: 何年かかったのかな…、多分5年くらいだと思います。大量のボツ原稿があります。結局、2000枚以上書いたはずなんですが、思い返すと5年はアッという間ですね。

―― 執筆5年、ボツ原稿2000枚はすごいですね。

乙一: 『ジョジョ』のキャラクターを自由に動かせていないというか、操り人形しか書けていない違和感がずっとつきまとっていて…。それで、いろいろと考える必要があると思って自分で何度もボツにして作戦を練っていました。こういうことをできるのは一生に一度なんじゃないかと思うと、納得できない原稿で本を出すのは一生後悔しそうだったので、各方面に頭を下げて本が出ない状況が続きました。

荒木: でも、その甲斐はあったと思うよ。たしかにすごい本になってる。

乙一: 今回の『The Book』では荒木先生に口絵や挿絵も描いて頂いたんですが、今の絵柄で4部のキャラを見られるのは、すごくうれしいです。

荒木: 挿絵で気を使ったのが日常性なんですよ。冬の杜王町が舞台なんで背景に雪を降らせてみたり。小説オリジナルの敵も仗助たちと戦うけど、でも「悪くて強い敵」っていう感じじゃない。「町の中にいる主人公」っていう感じで、ちゃんと人生の背景がある。その辺のリアリティとかは注意しました。


乙一: どのイラストも僕のイメージ以上でした。それと巻頭口絵で描いて頂いた飛び出すイラスト、これがまたすばらしい…。

―― 乙一先生は、ノベライズの執筆で面白かった部分はどこですか?

乙一: 『ジョジョ』ファンだけに判るようなネタを散りばめてみたんですが、そういうところが面白かった。同人誌を書いている気分でした。

荒木: そういうネタ的な部分が、なんか生き生きしてるんだよね(笑)。適度にリラックスしている感じも出ていたし。

乙一: 最初はネタ的な部分を排除する方向で書いていたんですが、そうすると借り物的な違和感が出てしまって。ところがネタ的な視点を入れたら、不思議と違和感がなくなっていくような気がしたので積極的に入れようと思いました。

荒木: 乙一さんは以前から「4部を小説にしたい」って言っていたよね。

乙一: 3部と5部のノベライズがすでに出版されているというのもあるんですが、でもそれが出ていなくても4部を選んでいた気がします。不気味で好きなんです。

荒木: 4部が乙一ワールドに近いからじゃないかな? この『The Book』が出たらね、スッゲー悔しがる作家さんもいると思うよ。

乙一: 僕は、いろんな作家さんが4部の小説を書いたら面白いだろうなぁって思っているんですよ。書いた作家さんが『ジョジョ』をどう読んできたのかが出てきそうで面白そうだなぁと…。「この作家はこういうところが好きだったんだな」とわかると思います。

―― 劇中のスタンド能力(詳細は小説を読んでくれッ!)は乙一先生のオリジナル?

乙一: そうですね。

荒木: スタンドって必ず自分の人生観が入ってくるんですよ。だから考えた本人じゃないと、たいした技に思えないんじゃないかな。描く本人が「こりゃスゴイ」って思ったのがいいんだよね。

乙一: 「スタンドが人生観を反映している」…、これもいい言葉ですね。

―― 乙一先生が4部で好きなキャラクターは誰ですか?

乙一: 吉良吉影ですね。連続殺人犯の悪役なんですが、とにかく平穏に人生を終えようと言うその思想が衝撃的で、僕の人生にも馴染んだところがあって。

荒木: 吉良は前向きなんだよね、とにかく「悪のヒーロー」を目指してたんで。じつはマンガでは描かなかったけど吉良の背景もあるんですよ。吉良の母親が虐待みたいなことをしてて父親は見て見ぬフリで、それを「すまない」って思っていたから吉良をあそこまで救おうとしてたっていう。ただマンガでやっちゃうと悪役としては悲しいヤツになるし、敵にもならないし。そこの兼ね合いは描けなかったっていうか少年誌だからできなかったのかな。でも乙一さんの小説にはそういう悲しい部分もあって、かなり良かったですよ。

―― 小説家という立場から見て、『ジョジョ』のキモはどこだと思いますか?

乙一: それは人それぞれ違うと思いますが、僕の中では演出です。普通のマンガならいきなり見せて読者を驚かす場面でも、『ジョジョ』は少しずつ周辺を固めてから提示するような、ゾクゾクする感じがあります。そういうビックリするような仕掛けがすごく好きで、『ジョジョ』を読んでいて至福を感じる時ですね。

荒木: ありがとうございます。でも何気なくやってんだけど(笑)。

―― 荒木先生から見て、この『The Book』の魅力はどこでしょうか?

荒木: この『The Book』にはね、サスペンスがあるんですよ。あと、「血の因縁」的な設定が出てくるんだけど、その辺がイイっすね。そこを外さなかったのは、さすが乙一さん。

乙一: 僕は『ジョジョ』を読んで「血縁」という言葉を気にするようになったんです。少し前から「父」とか「子」とか、そういうキーワードが好きになっていて、自分の小説でもそういった血族の話を書いたりしていました。

荒木: 『The Book』は乙一ワールドに4部のキャラクターが入っていく感じがするところもイイんですよ。億泰とか仗助といった4部の各キャラクターたちが深く描かれていて、原作よりいいかもしんないですね。

―― 小説だと、心理描写をより細かく入れられますね。

荒木: 3部や4部を描いていた頃、担当編集者から「悲しい話を描いてくれ」と言われたんですよ。僕もそれを目指したんだけど、でも若かったせいか、そこまで達していなかった。だけど、この『The Book』にはそれがあるんですよ。4部当時に目指していたものの完成形がある。完璧ですね。k

乙一: 良かった…。ホッとします。

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