Kenichi Suzuki (March 2022)

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Published March 19, 2022
Missing translation
JOJO magazine 2022 SPRING Cover

An interview with Kenichi Suzuki, the General Director for the Stone Ocean anime. It was published in the Spring 2022 issue of JOJO magazine, released on March 19, 2022.

Interview

ストーンオーシャン
STONE OCEAN
ジョジョの奇妙な冒険

総監督
General Director
鈴木健一
SUZUKI KENICHI

Interview
全世界への同時配信が始まるや、たちまち各国で大ヒットを記録したアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』。 原作人気もさることながら、高いレベルでの映像化に成功したことも人気に拍車をかけている。 そこで、本作の総監督を務める鈴木健一氏に制作の秘話などをお聞きした。 2022年3月現在で毎週のTV放送を楽しんでいる方も、これを読めばさらに興味深くアニメを見られるはずだ。


PROFILE
テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』、
『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』でシリーズディレクターを務める。
監督作品に『DRIFTERS』、『Fairy gone フェアリーゴーン』など。


第6部の映像化で新たな見せ方に挑戦

――第6部『ストーンオーシャン』の総監督を引き受けられた時のお気持ちをお聞かせください。

■第3部のキャラクターが再登場しますし、第6部は『ジョジョ』という何世代にもわたる物語の大きな区切りになるので、そこを含めていい作品にしたいと思いました。「もう一度あのキャラをフィルムに出せるんだ」というワクワク感と、「また会えるのか」という嬉しさもありましたね。第4部、第5部の制作には参加していませんが、第3部とは地続きのような感じがしていて、第6部は特に関わりたいという気持ちが非常に大きかったですし、やる気が出ました。

――『ストーンオーシャン』では回想が中心ですがDIOも登場します。

■そうですね。第3部の時間軸で見たとき、「このぐらいの時期にプッチと会ってたよね」という設定があるので、デザインも含めて齟齬が無いよう調整しました。キャラクターデザインは第6部用に再度描いていただいたんですが、服装や雰囲気は第3部の時代に合わせてもらっています。服のディティールなんかは少し変わっているかもしれません。

――実際に第6部の制作段階に入って気をつけたことはありますか?

■これまで自分が関わってきた『ジョジョ』での経験を活かしつつ、「実写的な表現」を意識しました。

――「実写的な表現」とはどのようなものでしょうか?

■これまでのアニメシリーズ同様に原作の特徴的な擬音や原作のコマのレイアウトを活かした漫画的な表現を残しつつ、『ストーンオーシャン』の舞台がアメリカの刑務所ということもあり、映画的というか海外ドラマのような雰囲気が感じられるよう、色味やカット割り、プロップスなどを考慮した表現ということです。

――なぜそのような表現をしようと考えたのですか?

■原作の中で各部にそれぞれ舞台の違いによるテイストの特徴があると思うんです。先にも述べたように第6部はアメリカが舞台で、登場人物のほとんどがアメリカ人なので、その特徴を活かすためには「アメリカのドラマ」のテイストが合うのではと考えました。さらに、刑務所ということもあり登場人物の多くは囚人であり社会不適合者なわけです。そのハードな中で生きる空条徐倫を描くには、海外ドラマのような大人っぽい切り口が合うんじゃないかなと思っての試みでした。また、なにより第6部は何世代にもわたるジョースター一族とDIOの因縁を締めくくるシリーズなので、大河としての「大きな視点で描く」ということにも注力しました。

――なるほど。演出で工夫された部分はあるのでしょうか?

■今までのシリーズでもやってきたことではあるのですが、単純に言うと、暗いところは暗く、明るいところは明るくというシンプルなことだったりしますね。アニメだと本来暗い部分でも、明るく描かざるをえないことが多々ありますが、原作のテイスト上なるべくそういった演出は抑えています。ただ、視聴者が視認できないと本末転倒ではあるのでシーンによっては従来通り明るい表現もしています。第6部として新たに追加した工夫としては、原作のように背景の建物には常にタッチや汚れを入れています。また、今までのシリーズでは荒木先生のイラストテイストで空の色を変えるなどの演出もありましたが、今回は天気や時間経過が大きな要因になる話があるので、青空は青く夜は暗く描いています。相変わらず「荒木雲」(『ジョジョ』の背景に描かれる特徴的な形の雲)は飛んでいますし、シーン特色もやっていますけどね。

アメリカという舞台や徐倫たちをイメージしたサウンド

――音楽についてもお聞かせください。どのような雰囲気の楽曲を制作されたのでしょうか?

■今回は舞台であるアメリカを感じられるように、アメリカの音楽をベースにしたいという想いがありました。加えて主人公である空条徐倫という女性キャラにマッチする音楽は何かと考えたときに、ジャズが合うんじゃないかなと思ったんです。なのでサスペンスチックなジャズを菅野祐悟さんにオーダーさせていただきました。仕上がりにはすごく満足していますし、メチャクチャかっこいいです。

――聴きごたえのある曲ばかりですよね。監督お気に入りの曲はありますか?

■プッチのテーマ曲ですね。非常にアダルトというか、怖い雰囲気の仕上がりになっています。現在配信中の第1話~第12話では、テーマ曲の中盤くらいまでしか使っていません。後半部分まで使いたかったのですが、先々で使うべきタイミングがあるので温存しています。本当にいい曲で、凄く気に入っています。

――思い入れの強いエピソードを教えてください。

■第5話ですね。あのメチャメチャ強い空条承太郎が娘である徐倫を庇って倒されてしまう。モノ言わぬ承太郎の姿を見て初めて、徐倫に父を救うという目的意識が芽生える瞬間を表現した話です。

――第3部と第6部では承太郎の描き方も変わってきていると感じます。

■おっしゃる通りです。承太郎は、デザインを発注するにあたって、「父親っぽさは表現したいけれど第3部のときのような貫禄は欲しい」と言うことで「原作を踏襲しつつ、筋肉質に、体格の良いシルエットで」とキャラクターデザインの筱雅律さんにオーダーしました。

――承太郎のほかに、鈴木総監督からキャラクターデザインに具体的な指示を出したキャラクターはいますか?

■徐倫は全シーズンを通して前半と後半でキャラクターデザインは変えたいという話を最初からしていました。徐倫がある決意をした瞬間から切り替わります。彼女は事件に巻き込まれて投獄され、話が進む中で自分の向かうべき道が少しずつ見えてきて強くなっていきます。そして、あるタイミングでしっかりとした芯が通り、「やっぱり承太郎の娘だよね」となるんです。贅沢にも2つのデザインを用意していただき、キャラクターデザインを分けることで徐倫の心情の変化を表現しました。顔つきから体格まで、全て変わっています。

――後半の見どころのひとつですね。

■そうですね。視聴者の皆さんにはストーリーを追う中で気づいてもらえると嬉しいです。徐倫の成長が感じられる仕掛けになっていると思います。

随所に仕込まれた原作の要素

――第1クールの見どころは?

■徐倫がスタンドで戦いながら刑務所の中で生きのびていくという「日常」ですね。閉塞されたフィールドの中で様々なスタンド能力者に襲われる彼女が、どうやって切り抜けていくのか見届けてほしいです。また、個人的には先の質問で答えた第5話です。この話は、第1クールのターニングポイントだと思っていますし、今後の動きに繋がるキャラクターの心の動きが一番見えるところでもあります。もちろん、全話いいんですけどね。

――視聴者が繰り返し見て気づくようなポイントなどはありますか?

■これは視聴者にゆだねたいです。基本的には原作を踏襲して作っているので、原作で描かれている要素は、入れられる限りアニメでも仕込んでいます。細かい部分もあるので気づいてもらえたら嬉しいですね。それと、連載当時の週刊少年ジャンプを持っている人しかチェックのしようがないと思いますが、あるシーンでは、荒木先生が塗っていたカラー原稿の配色にしています。集英社さんに「当時の週刊少年ジャンプはないですか?」と伺ったら探してくださって、「この色でやろうよ」と現場に話しました。ジャンプをお持ちの方は、どこで使われているか探してみてください。

――最後に監督から読者へメッセージをお願いします。

■「このキャラを動かすとこうなる」「ここに色がつくとこうなる」ということを楽しんでいただけたらと思います。アニメーションになった『ストーンオーシャン』を、徐倫を、楽しんでいただけたら嬉しいです。内容に関しては構成も含めて、観やすいように咀嚼してアニメーションにしているので、そういった部分も感じていただければと思います。ぜひ最後までご覧ください。

――ありがとうございました!


My Favorite STAND

――第6部で好きなキャラクター、もしくはスタンドを教えてください。

「ホワイトスネイク」が好きですね。
喋ったりするところとか可愛いですよね。第4部あたりから徐々に自我を持っているように喋るスタンドが増えてきたと感じます。「ホワイトスネイク」には気に入っているセリフもありますし、今までにない感じが良くて好きです。


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