TSUTAYA Cinema Handbook (December 2011)

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Published December 23, 2011
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TSUTAYA Cinema Handbook (December 2011)
Interview Archive
TSUTAYA Cinema Handbook 2012

Comments from Hirohiko Araki on 10 "refreshing and soothing" horror movies he selected. It was published in TSUTAYA Cinema Handbook 2012 on December 23, 2011.[1]

Interview

Dawn of the Dead (2004)MiseryI Am LegendThe Ninth GateBlack SwanDeath SentenceThe MistFinal DestinationThe Texas Chain Saw MassacreNo Country for Old Men
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『ドーン・オブ・ザ・デッド』('04)


「無個性からくる不気味さがゾンビの最大の魅力」

「ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』を観て以来、すっかりゾンビ映画の魅力に取りつかれました。ドラキュラやフランケンシュタインなどの個性の強いモンスターと違って、ゾンビは集団で襲ってくれば怖いですが、動きが鈍いから一人ひとりはそうでもない。そして噛まれたら誰でもなってしまう。この“無個性”からくる不気味さこそがゾンビの最大の魅力なんです。全員が平等で、群れて、しかも自由であるゾンビ映画は、僕にとっては“癒される”ホラーですね。『ドーン〜』はロメロ版『ゾンビ』をブラッシュアップした作品。ヒロインのキャラが現代的で機敏だったり、ゾンビが走る演出など、スピーディになっている点に、よりスカッとさせられます」


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『ミザリー』('90)


「愛憎入り交じった関係の中でこそ名作は生まれるのかも」

「スティーブン・キング原作映画の中ではNo.1。こんなにイッてしまってる女性は、全映画史上においても他にいないんじゃないでしょうか。 そこまでやるか! という驚愕の展開。中年女性にあそこまでやらせるのがキングの人気小説家たるゆえんというか『この作者は次に何をやるかわからない』という期待にしっかり応えながら、その驚きを恐怖へとつなげていく手腕はさすがです。主人公に対しても容赦がなくて、本当に奈落の底へ突き落とします。とにかく女性が怖すぎて、ラストで爽快になるしか、観た人に逃げ道がない! それと、漫画家としては、愛憎入り交じった関係の中でこそ名作は生まれるんだなと妙に実感した作品でもあります(笑)」


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『アイ・アム・レジェンド』('07)


「男のあこがれとゾンビ映画の魅力を盛り込んだ傑作」

「主人公は、新種のウイルス感染で無人と化したニューヨークで唯一生き延び、相棒の愛犬と暮らしています。銃をぶっ放そうが、車を奪おうが、止める者は誰もいない。他人といるのが人間にとって一番気を遣うことなのかもしれない、と思うことがあるのですが、その逆説として『この世界は俺のものだ!』というシチュエーションは、現実世界では考えられない最高の贅沢ですよね。夜には怪物と化した感染者が徘徊するんですが、 その緊張感もかえって心地いい。自分だけの基地や隠れ家をつくるというのは男にとってあこがれですから、楽しくないわけがないんです。それに加えてジャングル化していく街で狩猟するというサバイバルの面白さもある。いくつもの男のあこがれを実現した環境を描きつつ、ゾンビ映画としての魅力も盛り込んだ傑作だと思います」


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『ナインスゲート』('99)


「ヨーロッパの底知れない歴史そのものがホラーの要素に」

「監督のポランスキーは独特の退廃的な映像を見せてくれますが、江戸川乱歩や横溝正史の世界につながるダークな雰囲気が実に味わい深い。古書の山には魔女狩りの時代の書物なども含まれていて、アンティークな魅力も漂ってくる。僕はそういうものが好きでヨーロッパに行くと古い図書館や古書店によく行くんです。この映画では、ヨーロッパの底知れない歴史そのものがホラーの要素になっていて、映画自体を超一級のアンティークと呼びたくなるようないぶし銀の魅力を放っています。派手な音楽や演出はなく、淡々とストーリーが進行していくのが本当に素晴らしい。ちなみにジョニー・デップ扮する本の蒐集家の軽妙で洒脱な振る舞いは 『ジョジョの奇妙な冒険』の岸辺露伴のキャラクターをつくる上で参考にしましたね」


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『ブラック・スワン』('10)


「恐怖の全てを“眉毛”のゆがみだけで表現した演技が絶品!」

「第83回アカデミー賞主演女優賞に輝いたナタリー・ポートマンが吹き替えなしで挑んだ圧巻のバレエシーンも話題になりましたが、それ以上に、ポートマンの“眉毛”の形の凄みに注目してほしいですね。ヒロインのバレリーナ、二ナにとっては、周囲の仲間もコーチも家庭も母親もセックスもドラッグも決して安らぎをもたらしてくれない。それどころか、逆に敵に回って自分を攻撃してくるという暗黒の絶望は真の恐怖と言えるでしょう。その恐怖のすべてが、ヒロインの眉毛の形のゆがみだけで表現されているさまは、まさに絶品中の絶品!」


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『狼の死刑宣告』('07)


「納得するまで復讐に復讐を重ねる主人公の気迫が怖い」

「いわゆる“復讐もの”ですが『復讐しても失った人や出来事は戻るわけではなく、不毛である』という哲学や社会道徳のさらに奥へ踏み込んでいくところがこの作品のすごいところですよね。愛する息子を目の前でギャングに殺されてしまい、どんな犠牲を払ってでも『納得するまでとことん復讐に復讐を重ねてやるぜッ』といった主人公の気迫は圧倒的に怖いです。特に、10分以上もの長回しで撮られた駐車場での追走劇で、ギャングからひたすら逃げる主人公を演じたケヴィン・ベーコンのすさまじさ、そしてその後に訪れる開放感(カタルシス)は必見です」


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『ミスト』('07)


「霧と人間の心理とがともに不可視の闇として描かれている」

「霧の中に危険な何かがいて、住民たちがスーパーマーケットに孤立するという設定は、『ゾンビ』好きにとってはたまらないシチュエーション。霧でボヤけてよく見えないけれど、汚いものが消されて美しいんです。やがて人々がしだいに本性をむき出しにしはじめ、店内が人間社会の縮図となるのも『ゾンビ』と同じ。 怪物の正体を想像することしかできない霧に包まれて恐怖は増幅し、それが人間の心の闇をさらに広げていく。霧と人間の心理とがともに不可視の闇として描かれているんです。『ミスト』はそれほど奥が深い名作だと思います」


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『ファイナル・デスティネーション』('00)


「予想を上回る展開を楽しむ“構築系ホラー”です」

「これまで5作つくられていますが、第1作が シリーズ中のベスト。登場人物を死に至らせる手口がひと捻りもふた捻りもされていて、予想を上回る展開が続いていく“構築系ホラー”です。例えば主人公がバスルームで足を滑らせる。頭を打って死ぬのかと思いきや、倒れる瞬間に洗濯物用のワイヤーが首に巻き付いてジワジワと窒息させられてしまう。作り手による計算されたフェイントが観客の心を揺さぶりつづけ、観る側にどこまで先読みできるかを試すんです。構築されたストーリープロットを楽しめれば、気分よく観終えられるでしょうね」


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『悪魔のいけにえ』('74)


「既存の道徳観を打ち砕こうとした、まさに“芸術作品”」

「見知らぬ土地で、見知らぬ人たちに囲まれたときの恐怖を描いた作品。人骨で作られたベンチやランプシェードなど不快感たっぷりの美術が恐怖心をさらにかき立てます。ゾッとするのが、レザーフェイスが解体場の引き戸を『ドーン!』と閉める、その感覚。閉め方と速度とパワーがキマりすぎているし、希望も同時に閉ざされることがこのシーンに集約されています。 作り手の、既存の道徳観を打ち砕こうとする思いが感じられ、まさに時代が産み落とした“芸術作品”とも言えるでしょう。観ているうちに追い込まれ、スカッとするしかない恐怖です」


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『ノーカントリー』('07)


「アントン・シガーは新しい時代の殺人鬼像」

「ハビエル・バルデム演じるアントン・シガーという殺し屋はターミネーターのように無造作に人間を殺していく男。人間的な感情をもたず、とにかく不気味なんですが、一方で『アメリカにはこんなヤツが生まれるんだ』と妙に納得してしまうほど存在感のあるキャラクターとして描かれています。そう考えると、シガーは新しい時代の殺人鬼像であり、この作品においてはシガーを生んだアメリカの暗部がホラーの源泉になっていると言ってもいいかもしれません。非現実的な存在の殺し屋に、ものすごいリアリティがあるというのがいいですね」


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