Inheritance of the JoJo Anime - OPED Styles (December 2023)

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Published December 19, 2023
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Inheritance of the JoJo Anime - OPED Styles (December 2023)
Interview Archive
JOJO magazine 2023 WINTER Cover

Interviews with Kamikaze Douga staff Jumpei Mizusaki and Takahumi Utsunomiya, and Stone Ocean anime General Director Kenichi Suzuki. It was published in the Winter 2023 issue of JOJO magazine, released on December 19, 2023.

Interviews

Kamikaze Douga

神風動画
特殊OP制作インタビュー

アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』の物語終盤にオープニングの演出が変化する「特殊オープニング」。その演出の礎となった『スターダストクルセイダース』、そして『ストーンオーシャン』の映像を担当した神風動画にお話しを伺った。


「やります!」と飛びついたことを覚えています

――アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のOP制作の担当に決定した際のお気持ちをお聞かせください。

水崎(以下、水) 『ストーンオーシャン』(以下、「第6部」)前半OPの他に、『ファントムブラッド』(以下、「第1部」)のOPの監督と『戦闘潮流』(以下、「第2部」)、『スターダストクルセイダース』(以下、「第3部」)でプロデュースなどのクリエイティブ面を中心に携わりました。10年前は電話で里見(プロデュース協力:里見哲朗)さんと連絡を取り合っていて、電話が来た瞬間に何か予感を感じましたね。里見さんにはずっと『ジョジョ』が好きと話していたので「水崎さん、ジョ」まで聞いて「やります!」と(笑)。第1部アニメ以前は“神風動画”というチームが作った動画を地上波で放送したことがありませんでしたが、里見さんから「地上波に神風動画の画を使いたい」とお声掛けいただきました。予算とか期間とか関係なく「やります!」と飛びついたことを覚えていますね。第1部OPで好評を頂けたので、続けて第2部、第3部とOP制作に携わることができました。本当に嬉しかったです。

特殊オープニングとは

第3部の終盤、「ザ・ワールド」の能力が明らかになるとOP演出が大きく変化。その後のシリーズでもOP演出が変化し、アニメ『ジョジョ』の注目ポイントとなっている。第6部では承太郎とプッチの対峙後、時の加速と共に歴代『ジョジョ』が登場し、これまでの物語を振り返る演出となった。

うつのみや(以下、う) 僕は第6部の後半OPを担当させていただくとき、社内で「やらせてください!」と真っ先に手を挙げました。というのも、僕が「CGアニメーションを制作する仕事に就きたい」と思ったきっかけが第1部のOP映像だったからです。放映当時はまだ学生で、ファンとしてアニメ化を楽しみにしていました。OPを初めて観て「こんな映像を作れたらいいな」と思っていたので、まさか10年後に自分が制作する立場になると想像していませんでしたね。制作期間中は喜びとプレッシャーが入り混じって情緒の波がすごかったです(笑)。

「ザ・ワールド」の能力を視聴者の方々に体験してもらう

――水崎さんにお伺いしたいのですが、第3部後半のOPでDIOが時を止め、これまでのOPとは異なる“特殊演出”をシリーズで初めて取り入れられたと思います。その経緯をお聞かせください。

 第3部の後半OPの曲を初めて聴いた時、ジョースター一行がエジプトに入ってDIOの館に近付いていくにつれて増していく恐怖感や、おどろおどろしさを感じました。製作委員会との打ち合わせの時点でDIOと「ザ・ワールド」を出したいと思ったのですが、OPではネタバレになるからやめてほしいと要望がありました。その中で「アニメの展開上でDIOが出てきて時を止めた後なら、ネタバレにならないのでは?」と、その場で思いついたアイディアが特殊OPでした。津田尚克監督とも相談し本編を9秒カットしていただき、各所にも細かく調整していただいてあの演出に繋がっています。通常のOPを作る前から企画していたので、実際ファンの方の反応を見るまで9ゕ月くらいかかりましたね。その間、特殊OPの内容を伝えていなかったスタッフに、実験的に完成映像を見せて反応をみたりしていました。うつのみやくんは当時視聴者の立場でしたよね、どうだった?

 何が起こったんだ!?と、混乱しました(笑)。びっくりという言葉では収まらない衝撃が走りましたね。

 「DIOの「ザ・ワールド」を目の当たりにしたらこうなる」ということを、視聴者の方々に体験してもらうのが第3部後半特殊OPの狙いでした。音響の方からもアドバイスを頂いたりして、関係者のみなさんと協力し合うことで実現できた企画でした。

――第6部前半OPでも13話から演出に少し変化がありましたね。

 はい。初期案では冒頭から空条徐倫が空条承太郎に甘えたい気持ちが出ている演出を入れていましたが、鈴木総監督とお話している中で、初期の徐倫は承太郎に対して素直ではないので、少しイメージと異なってしまう点を指摘頂きました。第3部OP特殊演出のDIOのネタバレの話に似ていますが「承太郎への心境が変化した後だったらOPを変更してもいいのでは?」と(笑)。サヴェジ・ガーデンまでの話数を確認して1クールで切り替わるのはタイミングが良かったので、別バージョンを作成しました。

シリーズを追いかけてきたファンの方へのご褒美

――うつのみやさんにお伺いしたいのですが、第6部後半OPの中では第1部~第3部のOPのオマージュが多くあったかと思います。制作にあたり水崎さんとお話されたことなどはありますか?

 通常のOPは徐倫がプッチ神父に殴りかかるラストカットに、館の階段を駆け上がるジョナサン・ジョースターと同じ動きを取り入れました。特殊バージョンは歴代主人公のコマが勢いよく映るところなど、いくつかオマージュしている箇所があります。制作を進めるにあたり、大きなところは何回か水崎さんと相談させていただきました。ただ流れで「ここにオマージュを入れたら面白いかも」という細かいところは突っ走って制作させていただきましたね(笑)。

 うつのみやくんから動画のコンテを見せてもらった時「過去シリーズのOPが本当に好きなんだな」と思いました(笑)。自分以上に細かいところまで覚えてくれていて驚きましたし、嬉しかったです。

――一巡前の世界の締めくくりにあたる第6部の特殊演出について、特に意識したことを教えてください。

 第1部のOPは原作の歴史を辿る演出で始まりましたが、第6部放映の時期はアニメも10周年だったので“アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』の歴史”を感じさせるような映像を意識して制作しました。今までのOPも大好きな作品なのでオマージュをたくさん入れたい気持ちはありました。ですが、あくまでも第6部のOPなのでその中でファンの方が喜んでくださるオマージュを入れることを意識しました。特殊演出に関しては、自分を含めここまでシリーズを追いかけてきたファンの方へのご褒美になるものを目指して振り切って制作しました。

――うつのみやさんが制作されたOP映像の中には隠し要素も多く入っているとお伺いしました。

 そうですね。オマージュ以外にも、隠し要素は露骨になりすぎないように気を付けて散りばめました。殆どファンの方々が見つけられていると思いますが、まだ見つかっていないところはSNSを見ながら「よし、まだそんなに見つかっていないな」と思っています(笑)。DIOを隠したりしているので、見つけられるまで何度も見返して楽しんでいただければと思います!

世代を超えて繋がり受け継がれていく

――お二人がOPを制作する中で惜しくも没になってしまった演出やアイディアなどはありますか?

 第6部では刑務所の中の人々をプッチ神父と「ホワイトスネイク」がコントロールしているイメージがありました。そのイメージを生かし、全編を監視カメラ風の映像で企画を提案しました。前期OPのCGディレクターを行いながら、監視カメラ風の映像でOPの構想を練っている最中に、後半OPの放送タイミングが確定しました。しかし、その時にはみんな脱獄していて…(笑)。一旦この案を白紙に戻し、改めてテーマを考え直したものが今の第6部後半OPです。キャラクター達の過去シーンが流れるカットは、監視カメラ風の演出の名残になっています。

 10年前に、次の機会をいただけるか分からなかったので、徐倫の糸をジョースターの血統に見立てて館の中を辿り歴代の主人公たちを経てジョナサンへたどり着く…というような、第1部から当時連載が終了していた第6部まで、すべてを詰め込んだ第1部のOPの企画を提案していました。この案は没になったのですが、その名残が冒頭の歴代主人公たちのコマが一気に出てくる演出になっています。また徐倫の糸の演出は、時を越えて第6部前半OPの演出へと繋がりました。

――未来へ受け継がれていく、『ジョジョ』らしさがありますね。

 ありますね。『ジョジョ』は荒木先生が世代を渡ってずっと描いてこられた作品なので、作り手の世代も変わっていくのが良いと思っていました。第2部、第3部のディレクターを担当していた吉邉尚希くんやうつのみやくんと、繋がりながらも作り手が変わっていくことはとても良いことだと思います。

――JOJO magazine読者の皆様にメッセージをお願いいたします!

 『ジョジョ』の大きな物語が世代や時代を超えて舞台を変えながら続いていくことを、OP制作する身として、いちファンとしても、受け止めながら携わらせていただきました。視聴者として楽しんでいた世代のうつのみやくんが神風動画の門を叩き、第6部後半のOPを受け継いで作っている。この世代を超えて受け継がれていく流れが、これからも『ジョジョ』の世界を盛り上げていくと僕は思っています。荒木先生が描き続けてきた『ジョジョ』をみんなで繋げていき、一緒に末永く盛り上げていきましょう。ありがとうございました。

 型は決まっているけど形が色々あることが『ジョジョ』の良さで、シリーズやキャラクターが変わっても、物語の核心にあるものは変わらないことが魅力の1つだと思います。今連載している第9部が始まったときも「『ジョジョ』が帰ってきた」という感覚がありました。僕自身、今後の原作展開を皆さまと同じように楽しみにできたらと思っています。『ジョジョ』が本当に大好きです。ありがとうございました。

――ありがとうございました!


神風動画
3DCGを中心とした表現を得意とする映像制作会社。アニメ『ジョジョ』の第1部、第2部、第3部、第6部のオープニング映像を担当。

水崎淳平 Mizusaki Jumpei
神風動画代表取締役。第1部、第6部前半OPでディレクターを務め、様々な作品を手掛ける。

うつのみや隆文 Utsunomiya Takahumi
神風動画所属。第6部後半OPディレクターを担当し、多くの作品でCGディレクターを務める。


Kenichi Suzuki

受け継がれる黄金の意志

鈴木健一総監督
特殊ED制作インタビュー

『ストーンオーシャン』の第38話にて『ファントムブラッド』エンディングテーマ「Roundabout」と共に放送された「特殊エンディング」。『ストーンオーシャン』の総監督でエンディングの映像を手掛けた鈴木健一さんにお話を伺った。


――今回、第38話のみEDの映像と音楽が通常のEDとは異なる“特殊ED”を作ることになった経緯をお聞かせください。

鈴木健一総監督(以下、鈴木) きっかけは大きく2つあります。1つ目は『ストーンオーシャン』の最後で加速後の世界に、アイリーンたちが出てきたときに「それ以外の人たちはどうなったんだろう」と思ったのが始まりです。しかし原作で明確にしていないことをアニメで新たに提示するわけにはいかないので、今までの『ファントムブラッド』から『ストーンオーシャン』までの“思い出”としても捉えてもらえるような映像、もしくは「違う世界線の『ジョジョ』たちはもう1回こういう旅をしていたのでは?」と妄想が膨らむようなEDを作りたいと考えました。2つ目は音響打ち合わせの時点で大森(企画プロデューサー:大森啓幸)さんも同じ意見でしたが、最終話のEDは『ファントムブラッド』と『戦闘潮流』のEDテーマである「Roundabout」を使用したかったことです。そこで最終回で「Roundabout」が流れるならばEDも特別なものにしようと考え、『ファントムブラッド』から『ストーンオーシャン』を振り返るというアイディアを特殊EDとして生かすことにしました。今までのアニメを観てきてくださった方の中では特殊OPが恒例になっていると思うので、切り替えのタイミングは「メイド・イン・ヘブン」の能力が明らかになったあとの第38話のみにしようと決定しました。実は『ストーンオーシャン』の第1話からこの映像を通常EDのものにするつもりでした。しかし第38話で「Roundabout」を流すのならば、今までの物語を振り返る映像を特殊EDに決定し、海の映像のものを通常EDに使用することにしました。

絵コンテ 鈴木総監督が作成した絵コンテには細かな描写やカラーリングの指示などが記載されている。

――特殊EDで描かれている『ファントムブラッド』から『ストーンオーシャン』までのカットとカラーリングは、どのような理由で選ばれましたか?

鈴木 特殊EDのカットにシルエットが写っている人たちは「黄金の精神を持っている」ことを基準として選定しています。『ファントムブラッド』はジョナサン・ジョースターがダニーと共にいた物語の端緒となった時代を選びました。『スターダストクルセイダース』の原作内ではジョースター一行全員で砂漠を歩いているシーンは描かれていませんが、実際の旅の中にはあっただろうというイメージで制作しました。その他のシリーズもジョースター家の血統を中心に選定して「全てがジョースターを象徴する星の元で繋がる」イメージです。各部のカラーリングは、読者の方々それぞれのイメージもあると思いますが、原作の表紙イラストや荒木先生が各部を連載されていた時期のイラストのベースカラーなどを参考に考えました。『ダイヤモンドは砕けない』の黄色の空のような「特色」を意識しています。

――第38話のラストカットで、原作には描かれていなかったフー・ファイターズが描かれていました。フー・ファイターズを追加された経緯をお聞かせください。

鈴木 読者の方々の中にもいらっしゃると思いますが、原作を読んだ時から「なんでフー・ファイターズだけいないんだ!(泣)」という気持ちでした。強い思いを抱えながら最終カットでフー・ファイターズも追加することができるのか、製作委員会と協議を重ねました。最終的には荒木先生にしっかりとご確認いただいて、あの演出が実現しています。

――第38話を制作されるにあたり、特に意識したことはありますか?

鈴木 読者の方々は原作の最終話を読んで衝撃を受けた方も多いと思います。僕もそのうちの1人でした。特に『ストーンオーシャン』はアニメーションと音楽、声の演技が付くことによって悲壮感がより一層際立ってしまう懸念がありました。アニメオリジナルで承太郎の反撃を入れたりしようか考えましたが、それでは原作の良さを壊してしまうので、あえて入れませんでした。その代わりに空条親子の盛り上がりを少しだけ足したりして、これまでのアニメの演出と同じように未来に期待が持てるような終わり方になるように、特に意識しましたね。

――『スターダストクルセイダース』のシリーズディレクターをされていた鈴木さんにとって“空条承太郎”はどのような存在でしょうか?

鈴木 正しくヒーローです。読者の方々の中にも多くいらっしゃると思いますが、学生の頃から原作を読んでいて、人生を『ジョジョ』と共に過ごしてきた1人です。空条承太郎はなりたくてもなれないかっこいい“漢”の象徴で、本当に憧れの存在です。

――JOJO magazine読者の皆様にメッセージをお願いいたします!

鈴木 この記事を読んだあと、ぜひ『ファントムブラッド』の第1話からアニメを味わっていただきたいです。ジョナサンやシーザー・A(アントニオ)・ツェペリの死など悲しい別れや泣けるシーンも『ジョジョ』にはありますが、『スターダストクルセイダース』の旅を共にする仲間との出会いや胸を熱くするバトルシーンなど面白いシーンも多くあります。アニメを“もう一巡”見ていただき、何度でも好きなだけ『ジョジョ』の世界を楽しんでください。ありがとうございました。

――ありがとうございました!


鈴木健一 Suzuki Kenichi
テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』にて総監督を務める。『ジョジョの奇妙な冒険』、『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』ではシリーズディレクターを担当。


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