Da Vinci (April 2016)
Buichi Terasawa (March 2016)
Interview Archive
Animage (April 2016)

Excerpts of Otsuichi's comments and interviews from a 31 page feature on him for his 20th anniversary as a novelist. A comment from Araki commemorating his anniversary was also included. It was published in the May 2016 issue of Da Vinci magazine on April 6, 2016.[1]
Commentary
まだお若いのにもう20周年ですか。『The Book』を光栄にも2007年に書いていただきました。乙一さんならではの、現代的な傷付きやすい男女のキャラクターを与えていただきました。"ジョジョ"の世界を深くしてくださったと思います。
上京してから住んだ2つめの街が、神奈川県川崎市。武蔵小杉駅の周辺に住んでいました。ちょうど『The Book』を執筆していた頃です。都市の再開発を間近に眺めながら、『ジョジョ』4部の舞台・杜王町にとらわれて沈んでいく女性の話にしようと考えました
8歳の頃、第2部のサンタナが独房から脱出するページをたまたま雑誌で目にして、トラウマになりました(笑)。最近は第7部の『スティール・ボール・ラン』がお気に入りです
Interview (Pg 210/211)
読者からの反響だけでは満たされなかったんです
『GOTH』と『ZOO』の2冊によって、小説家・乙一の人気は確立した。畳み掛けるように出版ラッシユが始まるかと思いきや、むしろゆったりしたペースに変わった。書いていなかったわけじゃない。ある小説を、書き続けていたのだ。大人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』、第4部のノベライズだ。
「自分も『ジョジョ』のファンだったので、書いても書いても納得できなかったんです。『ジョジョ』の"ゴゴゴゴゴ"という音が小説から聞こえてこないぞ、と。そもそも『ジョジョ』のスタンドって、超能力がビジュアル化された面白味があるじゃないですか。それを文章にしたら、せっかくビジュアル化されて面白かった要素がまた見えなくなってしまう。"マンガを小説にする理由ってなんだろう?"というところまで疑問が戻っていってしまって……」
ボツにした原稿は2000枚超、構想&執筆に5年以上をかけた。07年11月についに完成させた作品のタイトルは、『The Book』。ノベライズとしても抜群に高品質でありながら、本について、物語についての小説となった。
「『ジョジョ』のノベライズという明らかに難しい、どうしたって人から叩かれそうなものをやることで、自分を追い込んで、書くものを広げようという気持ちがあったんです。くいろんなことを執筆中に学んだ気がしますね。例えば小説って、マンガや映画では描けないビジュアルを、読み手に喚起させられるところがあると思ったんです。そういうビジュアルを表現するために、『GOTH』以上に実践的に、表面的な物語の裏側にいろんなイメージを潜ませるということもやってみました」
若き作家は偉大な原作と真正面から「対決」することで、自らの作家性を更新してみせたのだ。
「書き終わったらもう、自分には書くものがなくなるんじゃないか、これが自分の出す最後の本になるかもしれないと思いながら、当時書いていた記憶があります。でも、ちゃんとふざけた部分も入れましたよ」
[...]
「物語」とは何か? 小説家としての役割とは?
乙一が現在手掛けている大きな仕事は、自身初となる異世界ファンタジー長編「アークノア」シリーズの執筆だ。13年7月に第1巻「僕のつくった怪物」を、15年9月に第2巻「ドラゴンファイア」を発表している。
「『アークノア』はお父さんが子供を殺すかもしれない話なので、息子には読んでほしくないですね(苦笑)。『The Book』を書いたおかげで、自分はすごく好きなんだけど、書くのは難しいなと思っていたジャンルにチャレンジする楽しさを知ったんです。