Published January 28, 2011
Missing translation
Tomu Kawada

Excerpts of an interview with Tomu Kawada (川田 十夢, Kawada Tomu), eldest of the AR Three Brothers developmental unit, discussing Augmented reality and the program "AR三兄弟の野望!~デジタルの新世界『拡張現実』に挑む~" which Araki was a guest on.[1] It was published on Nikkei BP's website on January 28, 2011.[2]

Interview

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番組告知ホームページによると、ゲストは、放送作家で「おくりびと」脚本の小山薫堂さん、歌手の小林幸子さん、漫画家で「ジョジョの奇妙な冒険」作者の荒木飛呂彦さん、とあります。いったいどんな話をしたのですか?

川田 僕が尊敬する、影響を受けた表現者に会いたくて、番組を通じて出演を打診しました。番組スタッフも、まさか全員からOKがもらえるとは思わなくて、こんな豪華なメンバーに。

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漫画に出てきた「スタンド」を現実で操れるシステムを開発

川田 荒木飛呂彦先生は、大ヒット漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の作者として尊敬していますし、自分の作品にも多くの影響が見られると思います。この人から学んだことはたくさんあって、僕にとってそれが当たり前すぎて“忘れている”側面もあるんです。

 例えば、荒木先生は作品間の「連続性」を大切にしている。作家によっては、一つの作品が終わると次の作品では全く異なる作風にチャレンジする方もいる。まるで以前の自分を否定するように。でも荒木先生は違う。『ジョジョ』シリーズでは「スタンド」という特殊能力が登場しますよね。最新作では、15年以上前に描いたスタンドを登場させたりしている。僕らAR三兄弟も、作品ごとに試したり組み合わせたりする技術や素材は違うけれども、黄色いカクメットをかぶった3人が人前に出てパフォーマンスするのは同じですね。

著書『AR三兄弟の企画書』にも、「ミュージシャンが音楽をライブで披露するのと同じように、システム開発者が作ったシステムを人前で披露する」とあります。作品を広く浸透させるためであり、表現の幅も広がる、と。これはAR三兄弟のユニークなところですよね。

川田 そのほか、荒木先生に影響を受けたところとしては、作品の中で「見えないものを可視化する」「見えているものを隠す」というトリックがあります。漫画の中では、普通の人にはスタンドは見えません。スタンド使い同士で闘う時は、なるべく自分のスタンドを隠す。僕もARによって見えないものを見せて、現実にあるはずのものを隠したりします。

こうした自分が影響を受けた点をフィードバックして、自分のこれまでの作品を見せて、「スタンドをARで作らせてください」ってお願いしたんです。漫画の世界の中だけにあったスタンドも、ARを使えば実現できますって。実例をいくつも示したら、荒木先生も乗ってきてくださって、「よし、やろう」と。

『ジョジョの奇妙な冒険』は、川田さんと同世代、今の30代を中心に熱狂的なファンがたくさんいて、それぞれひいきのスタンドがありますから、実現したらすごいことになる。

川田 『ジョジョ』シリーズは来年30周年を迎えるので、それに合わせて「荒木飛呂彦 スタンド展」のような展示ができないか、企画しているところです。好きなスタンドで遊べますよ。

 実は荒木先生は、携帯電話など、最先端のテクノロジーがあまり好きではないらしく、僕たちと会うときも「論破して、徹底的にダメ出ししてやろう」と初めは思っていたらしいんですよ。でも、結局「すごく面白い」と言ってくださった。よかったですよ。荒木先生に「キミ、つまらないね」って言われたら、立ち直れなくてAR三兄弟の活動をやめていたかもしれない(笑)。心配で前日はお腹が痛くなったほどです。

 荒木先生はすぐにARの本質を理解されて、番組の撮影が終わった後で、「これでARのスタンドから現実の肉体にフィードバックできるようになったら、この技術は完成だね」っておっしゃったんです。ARから現実に対して、五感のうち触覚などを通してフィードバックするというのは、これから僕らが本格的にARで取り組もうとしていることですよ。

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