HIROHIKO ARAKI MEETS Clint Eastwood (October 2012)

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Published October 5, 2012
Incomplete translation
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An interview between Hirohiko Araki and Clint Eastwood in the JOJOmenon mook, published on October 5, 2012. It begins on page 4 and ends on page 12.

Interview

TranslationTranscript

Araki: In "Trouble With The Curve", there's this scene where the main character visits his wife's grave and sings "You Are My Sunshine" to her. I found it really moving and I'm still tempted to cry even now when I think about it. Is there a particular song in your life you love even now? For me, it's The Carpenters' "Superstar".

Eastwood: Every once in awhile, certain songs, or even movies, will randomly pop into my head. I couldn't tell you why, but the other day I started humming "Mona Lisa" to myself. It's this song by Nat King Cole that I heard a lot as a kid. It's very old and was all the rage when it first came out. No one else but Nat King Cole who could have made a song like that into a hit. It's very painful and bitter, so that may have been why it resonated with me at the time.


Araki: I'd like to give a brief explanation of the drawing I brought today. His name is Jotaro, and the dog is Iggy.

Eastwood: Why did you name him “Jotaro”?

Araki: It's a generational thing where I put “JO” in front of the name of each main character.

Eastwood: I see, that makes sense.

Araki: Jotaro and Iggy both have supernatural abilities. Jotaro's is capable of high-speed movements, but he doesn’t really move and talk much himself. Those characteristics were influenced by you, Mr. Eastwood. And since I came from Japan to give you this drawing, I decided to put drew Mt. Fuji in the background.

Eastwood: That’s wonderful. So Jotaro and Iggy, huh?

Araki: Items that feature drawings of Mt. Fuji are typically considered to be very lucky. I'd be very happy if you'd accept it as a gift.

Eastwood: Thank you. Some guys I used to play golf with back in the day would always tell me, “it’s better to have luck than skill (laughs).”

Araki: Thank you very much for your time today.


[Translated by MetallicKaiser (JoJo's Bizarre Encyclopedia)]

荒木飛呂彦、“伝説”と出会う。

HIROHIKO ARAKI MEETS クリント・イーストウッド

少年はある日、父親に誘われて映画館へ出かけた。
スクリーンに映るのは、陽射し照りつける荒野と乾いた風。
そこにふらりと現れたひとりのガンマン。
まぶしそうに遠くを見る男の表情と、品のある美しい立ち姿に、心を奪われた。
少年は成長してマンガ家となり、ひとつの作品を25年にわたり描き続ける。
物語の中で姿を変えて繰り返し登場するのは、あの日父親と見た、ひとり静かに荒野に立つヒーローの面影……
いま、荒木飛呂彦はクリント・イーストウッドに会いに行く。


荒木飛呂彦、イーストウッド愛を熱く語る。「荒野に立つクリント・イーストウッドこそ、空条承太郎のモデルです」

 小学生の荒木飛呂彦は、父親から映画に誘われた。

「当時は子どもだし『ガメラ』なんかが観たかったんだけど、“かっこいいから、これに行こうよ”って父に言われて『続 夕陽のガンマン』(’66)を観ることに」。

 もともと、父親がイーストウッドのファンだったのだが、親子で観た“かっこいい映画”は荒木少年の人生をある意味決定づけることにもなる。

「小学生だし話の内容はわからなかったけど、イメージだけは鮮烈に記憶してますね。一匹狼のクリント・イーストウッドが馬に乗っていて、遠くから射撃したり、まぶしそうに首吊りのロープを見上げたり。そういうシーンのかっこよさを覚えてる」。

 以来、出演作・監督作をフォロー。イーストウッドは荒木飛呂彦にとって理想のヒーロー像となった。

「何より立ってるポーズがいい。男臭いのではなく、知性や育ちのよさを感じる立ち姿。気品があるんですよ。荒野にひとり立つイーストウッドのイメージが、マンガ『バビル2世』の主人公とも重なり、それが砂漠で学生服を着て戦う承太郎の姿へつながっていく」。

 『ジョジョ』シリーズ中、もっとも主人公然としたキャラクター空条承太郎は、クリント・イーストウッドをモデルにして作られた。

「イーストウッドは、かつてセルジオ・レオーネ監督から『演技せず、ただ立ってるだけでいい』と言われたそうです。だから承太郎にも余計なアクションはさせない。戦うときもポケットに手を突っ込んで静かに立ってるだけ。なのに、実はすごいスピードで破壊力あるパンチが出てる。で、『やれやれだぜ』って、そういう感じですよ」。

 イーストウッド演ずるキャラクターがモデルとなったのは承太郎だけではない。

「たとえば『ダーティハリー』(’71)と『グラン・トリノ』(’08)、両作品の主人公はリンクしている。ハリーの老後がウォルト・コワルスキー。僕の中ではそのようにつながっていて、孤独に戦ってきた男が老いて、若い奴に何かを教えながら死んでいくという流れがある。どちらも社会からはみ出しながらも群れずに戦い続ける、イーストウッドらしいヒーローです。『ジョジョ』第7部は西部劇的シチュエーションですが、ジャイロとジョニィのふたりも、家族や世間の価値観から逸脱しつつも、何か大きなものに立ち向かっていく。第5部のギャングにしても、彼らは親分子分の上下関係やサークル感覚のチームじゃない。はみ出し者同士の集まり。戦うときはそれぞれが孤独。そんなヒーロー観はイーストウッドの影響ですね」。

 もはや『ジョジョ』における影の主役とさえ思えてくるクリント・イーストウッド。もしも荒木飛呂彦が映画監督で、イーストウッドを俳優として『ジョジョ』の作中に起用するなら、誰の役なのだろう。

「難しい質問ですね。第7部ならいっぱいいるだろうけど……えーと、スティーブン・スティールさんかな。年齢的にもそうだけど、権威と戦っているところも」。

 もしもイーストウッドがスタンド使いだとしたら、どんな能力?

「え、スタンド? なんだろう……風を起こす能力がいいかなあ。荒野にそよ風を吹かせて、それで相手にささやかな影響を与えながら、地道に攻撃していく。そんなスタンドにしたいですね」。


クリント・イーストウッド&荒木飛呂彦
夢の対談が現実に!

2012年9月11日。荒木飛呂彦、クリント・イーストウッドとついに対面す。ふたりで交わされた会話の一部始終。

荒木 今日は通訳を通してのお話になってしまい、すみません。

イーストウッド(以下CE) 気にしないで。僕だって、少しくらい日本語をしゃべれるようになっているべきなんだ。日本語で映画を撮ったというのに、そのときもみんなが何を言っているか全然わからなかったんだよ(笑)。あの頃は、「日本語もできないのに、どうやったら日本語で映画を撮影できるんだい?」と人にしょっちゅう聞かれた。でも俳優が言っていることは英語版の脚本と同じはずだし、優秀な通訳もいてくれたからね。

荒木 最新出演作の『人生の特等席』は字幕なしでも観せていただいたんですが、それでも気持ちや感動は伝わってきました。映画のパワーはすごいですよね。

CE それはうれしいね。映画はビジュアルなアートだからじゃないかな。あなたはもともとビジュアルの人だし。

荒木 本日は、マンガ家としての視点からお話をうかがいたいと思います。イーストウッドさんの映画には、テーマが共通している作品があるように思うんです。たとえば『グラン・トリノ』と『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(’86)には通じるものがあります。それに『ミリオンダラー・ベイビー』(’04)と『パーフェクト・ワールド』(’93)の二作品にも。この『人生の特等席』は、『目撃』(’97)と親子関係が似ているかなと思うんですけど、意識しているのでしょうか?

CE どちらの作品も、大人になった娘との関係が出てくるからね。だけど『目撃』は相当前のことだし、自分ではわからない。無意識のうちに、ある種の感情的テーマに惹かれてしまうのかもしれないな。僕は家族、特に問題のある家族関係というテーマに惹かれる傾向があるのかもしれない。『ミリオンダラー・ベイビー』は父と娘についての物語だった。彼らは実際には父娘ではないが、彼は彼女にとっての父に、彼女は彼にとって娘のような存在になる。『グラン・トリノ』もそうだ。あの主人公は、家族から尊敬されていなかった。彼も家族に尊敬の気持ちは持っていなかった。だが、隣の家が彼にとって家族のような存在になる。最初は偏見を持っていたにもかかわらずね。彼はそのジレンマを乗り越えるんだ。そういったジレンマの要素にも惹かれるのかもしれない。

荒木 『人生の特等席』では、亡き妻の墓参りをした主人公が、ひとりで「YOU ARE MY SUNSHINE」を歌うシーンに感動しました。あれは今思い出しても泣ける名シーンです。あなたにとって、人生で一番好きな歌って何でしょうか?僕の場合はカーペンターズの「スーパースター」なのですが。

CE 歌だけじゃなくて、映画でも、時々ふと心の中によみがえってくることはあるよね。この間も僕は、なぜかわからないけれど突然「モナ・リザ」を思い出して口ずさんでいたんだよ。ナット・キング・コールの曲だ。子どもの頃によく聴いた。それがなぜ突然心に浮かんだのかは、わからない。とても古い歌なのに。当時は、とても興味深い歌だったんだよ。あんな歌をヒットさせるなんて、ナット・キング・コール以外にはできなかったことだったんだ。嫌悪や、辛さについての歌。だから当時、僕の心に響いたんだけどね。

荒木 いつも感じるんですが、イーストウッドさんは、立っている姿が、本当にすばらしいと思います。この映画でもあらためて惹きつけられました。上品で何げないんだけれど、とてもいいんですよ。

CE そういうことは知りたくないね(笑)。自分で分析しちゃいけないんだよ。そうじゃなくて、外を見ているべきなんだ。今こうやってあなたの描いた絵を拝見しているようにね。自分のことは見ない。自意識過剰になるだけだ。

荒木 僕はイーストウッドさんの姿に影響を受けてキャラクターを描いているんです。帽子のかぶり方も、普通のアウトローって、ツバを曲げるんですよ。でもイーストウッドさんの場合、帽子のツバがまっすぐなんですよね。

CE その瞬間に決めているだけだよ(笑)。帽子をかぶって「あ、これでいいな」「こっちをやってみようかな」って感じだ。

荒木 またマンガ家の性質なのか、僕は昔から映画のポスターをよく見ているんです。『アウトロー』(’76)や『ペイルライダー』(’85)などのポスターは、特に大好きなものです。画家のボブ・ピークが描いたものですが、こんなふうにしてほしいとか、あなたからも指示はしたんでしょうか?

CE ああ、もちろん僕も関わったよ。彼に「どっちが好き?」と聞かれたりもした。『アウトロー』のポスターの場合は、最初にカメラマンが、銃を持って叫んでいる僕の写真を撮影し、彼はそれを元に絵を描いた。でも写真どおりにはせず、そこから自分なりに解釈して描いたのさ。カメラマンは感情を写真でとらえ、ボブ・ピークは、そこへさらに自分の感情を加えたわけだ。

荒木 なるほど。ところで『硫黄島からの手紙』(’06)で来日されましたが、それ以前の来日は、ずいぶん昔だったと聞いています。

CE 『父親たちの星条旗』(’06)のあたりで日本には何度か行っているんだ。硫黄島での撮影について許可を取ったり、硫黄島に実際に行ってみたりしなければいけなかったものでね。だけどその前は1962年だ。「ローハイド」に出ていたときだよ。

荒木 そのとき、日本をどう思いましたか?

CE すごく面白いと思ったよ。僕は「ローハイド」でROWDY(ラウディ)というキャラクターを演じていたんだが、日本の人はみんな僕をロディさんと呼んだ。そう呼ばれるたびに、僕は「ロディサンって誰だ?」と思ったものだよ(笑)。あの番組のプロモーションで、僕は初めて海外に行く機会を得たんだ。イギリスや南アフリカ、ヨーロッパにも行った。その旅があったからこそ、『荒野の用心棒』(’64)に出たんだよ。当時、僕はまだイタリアにもスペインにも行ったことがなくて、もしも映画の出来が悪くなったとしても、海外に行けるならいいかと思ったのさ。そして幸運にも映画は成功した。それに僕は黒澤明の『用心棒』(’61)の大ファンだった。でなければ、あの映画には出なかったと思う。当時はまだ「ローハイド」に出演していたから、ほかに西部劇をやるのは嫌だったし、ちょっと休憩したほうがいいかとも感じていたのさ。だけど、エージェントが「日本映画のリメイクだよ」と言ってきて、興味を持った。「何のリメイク?」と聞いてもエージェントは知らなかったが、脚本を10ページも読んだら、僕にはそれが『用心棒』だとわかったよ。その後は一気に読み、出演を決めた。自分に三船敏郎に匹敵する演技ができるかどうかはわらかなかったけどね。

荒木 ほかに日本に関する思い出はありますか?

CE とても魅了されたということを覚えている。僕らは東京、箱根、京都、奈良に行った。とても素敵な旅だった。たくさん宣伝活動をやらなきゃいけなかったので、大変でもあったけど。まだ若かったのに、大変と感じたんだよ(笑)。

荒木 ちょっと話は変わりますが、僕はスパゲッティが好きなんです。イタリアのワインも。イーストウッドさんは、どんな食べ物がお好きですか?

CE 僕もスパゲッティは好きだよ。それで思い出したけれど『荒野の用心棒』が公開されたとき、日本人が“マカロニ・ウェスタン”という言葉を作ったんだよね。ほかの国では“スパゲッティ・ウェスタン”と呼び始めた。マカロニ、というのは、日本人なりのイタリアという意味だったんだよね。

荒木 普段よく食べるものは、何ですか?

CE 昨夜は赤ワインとスパゲッティ、それにビーツのサラダを食べた。僕はなんでも好きだが、基本的には地中海風の食生活をしている。それに寿司も好き。渡辺謙と仕事をしているときに、「ここに住む日本人が寿司を食べたいときは、どの店に行くんだい?」と聞いたんだ。すると彼はパシフィック・デザイン・センターの向かいの店を教えてくれた。ほかにも「イル・ピコリーノ」というイタリアンの店も好きだ。気に入っているレストランはたくさんある。

荒木 ところで、今何か欲しいものってありますか? あるいはこれから欲しいものは? もちろん、名声や家族や車など、すでにたくさんのものをお持ちですが。

CE 僕は幸運に生きてきた。いい人生を送らせてもらってきた。今も人生を楽しんでいる。このままいきたいと思っている。

荒木 わかりました。では、今日お持ちした絵の説明をすこしさせてください。彼の名前は承太郎、犬の名前はイギーといいます。

CE なぜ承太郎と名付けたの?

荒木 主人公には代々“JO”のつく名前をつけるんです。

CE なるほどね。

荒木 承太郎とイギーはふたりとも超能力を持っているんですよ。承太郎は、超能力ですばやい動きができるんですが、自分ではあまり動いたり、しゃべったりしないんです。そういう部分も、イーストウッドさんから影響を受けています。そして、日本から来てお渡しするので、この絵の背景には富士山を入れました。

CE 素敵だね。承太郎とイギーか。

荒木 富士山を描いた幸運のアイテムなので、お贈りします。受け取っていただけるとうれしいです。

CE ありがとう。ゴルフ仲間の間では昔からずっと「うまいより運がいいほうがいい」って言われているんだよ(笑)。

荒木 今日はお時間をいただき、どうもありがとうございました。


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