Ultra Jump (December 2015)
PlayStation Blog (December 2015)
Interview Archive
An interview with Hiroshi Matsuyama discussing the development of Eyes of Heaven that published in the January 2016 issue of Ultra Jump on December 19, 2015.[1]
Interview
TBA
「ジョジョEoH」のこだわりッ!
参戦キャラの基準はコンビとしての面白さ
——まず、本作の開発の経緯からお聞かせください。
松山 実は2013年に発売された『ASB』の発売時点で、すでに『ジョジョEoH』の構想はありました。まずは対戦アクションを作ったので、バンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)さんと、「次は全く新しいシステムの、新しい「ジョジョ」を作ろう」という話になりまして。企画書を作る段階で『ASB』での反響を分析・検証して「覚悟」を持って、前に向かいました。
特に意識した点は、大きくわけて「課金コンテンツがない」「ストーリーモードに注力」「『ジョジョ』の新たな体験を、しっかりとしたバランスでお届けする」という3点です。
——キャラクター数も『ASB』に比べて10人以上増えています。
松山 今回は『ジョジョ』らしさをより活かすために2対2のタングアクションを採用しました。主人公以外のキャラも個性的ですので、原作でも描かれているようなパートナーとの絆を表現したのが、今回の新システムです。その結果、参戦キャラ数は50体以上になり、しかもシェーダーやモデリングな。ども全部1から作り直しましたので、膨大な作業量になってしまいましたが・・・。
——1から作り直しですか!?
松山 『ASB』に出ていたキャラも、全体のバランスに合わせて大胆に調整しています。というのも、強い奴が勝つとは限らない、一方的なパワーゲームにならない点が、「ジョジョ」の魅力のひとつだと思うんです。ですので、より戦略的なかけひきが生まれるように、フリーランできる高低差のあるステージを制作しています。そうすると、『ASB』とは全く違うゲーム性になりますので、全キャラ全く新しい仕様で作られています。
——特殊な能力を操るキャラが多い印象があります。
松山 そうですね、キャラ同士を組み合わせた際に、よりかけひきが楽しめるキャラを選びました。例えば、ペット・ショップは上空から攻撃できて、しかも相手の攻撃は届かない。こういうキャラは組み合わせで遊び方が全く違ってきます。トリッシュはステージやギミックを柔らかくしたトラップが設置できますし、ンドゥールは本体が見つかると大ピンチですが「ゲブ神」が闘っている間は相当強いです。このように、キャラ単体ではなく、パコンピとしての面白さを重視した形ですね。それに、承太郎のような近距離型のキャラは、花京院のような遠距離タイプとコンビを組ませれば、力押しで闘うだけではなく、援護されながら闘えますよね。そういった点でも、「ジョジョ」ならではの楽しみ方ができるのではないでしょうか。
——個人的には、タルカスとブラフォードのコンビを見てみたかったです。
松山 完全なパワーコンビじゃないですか!(笑)開発前に社内で参戦キャラの候補を集めたとき、160キャラくらい挙がって。そもそも、さすがにその人数は作れないですから、まず最初に120キャラ、次に80キャラ、それから最終的に52キャラ、という流れでしたね。ゲームバランスを考えつつ、登場キャラの数を絞った形です。
——どうしても入れられなかったキャラはいますか?
松山 アバッキオです! ギリギリまで試行錯誤はしましたが、ムーディー・ブルースがとにかく大変で。考えていたのは、最初はまともに戦えないけど、そのステージにおける過去のプレイをリプレイして再現するという、完全に他人の力頼りのシステムです。ただ、まともに操作できないという問題が・・・(笑)。アバッキオ以外にも、リンゴォ・ロードアゲインだったり、杜王町の人々とか、まだまだ出したいキャラはいっぱいいます。
——これだけのキャラ数がいると会話のバターンも多そうです。
松山 キャラ同士の会話、掛け合いもこだわった点です。ユーザーさんから「オリジナルの掛け合いがほしい」という要望を多く頂きましたので、力の限り入れました。れない2人掛け合い、3人掛け合い、4人掛け合いのパターンで、ストーリーモード用やバトルモード時のものも含め全部で3000種類以上の台詞があります。元々1人用モードで長く遊んで頂くことを前提に作りましたので、使用キャラを変えるたびに、見たことのない掛け合いが発生して新たな発見があると思います。ある意味ではキャラクターゲームとして理想の形になったのではないでしょうか。
「意味のない物語」は作らないッ!!
——ストーリーモードは、どのような経緯で作られたのですか?
松山 本作のタイトル「アイズオブヘブン」はストーリーモードのことを指しています。ストーリーをしっかり作るという方針を固めた際に、ウルトラジャンプ(以下UJ)編集部や荒木先生にご協力を頂けることになりまして。
オールスター系の作品で、ある事件が起きてメンバーが集まり、異変を解決して元の世界に戻る、というような展開がよくあるじゃないですか。実は私たちもそういったブロットで先生にご相談したんです。そうしたらバッサリ。一刀両断でしたね。「事件が起きて、解決して、元の世界に戻るだけだとブラスマイナスゼロ」とご指摘頂いて。先生と直接やりとりをしたわけではないのですが、先生からのご指摘は「場合によっては原作の内容や展開が変わってもいいから、意味のない物語ではなく、成長して新しい答えを導き出せる。そういった物語を作ってほしい」と。正直、驚愕しました。普段、原作ものでは「イメージを壊さないように」「ファンが混乱しないように、原作と違う話にはしない」などといった点に気をつけていて。私たちもどこまで踏み込んでいいのか探りながら、2回目の提案をしたら「まだ足りない」と(笑)。結果的に、脚本に関しては荒木先生のチェックを頂きつつ、都合4回ほど大きな変更が入っています。
——ストーリーモードで特にこだわられた点はどこでしょうか?
松山 原作のかなりデリケートな話題にも触れている点ですね。例えば、第3部のジョセフが第4部の仗助に出会うとか。作中の時間軸で見ると、第3部の時点で子供の仗助が存在しているんですよね。ストーリー上で承太郎たちが杜王町を訪れるときも、ジョセフだけは他のキャラとは違うリアクションを見せます(笑)。 UJ読者の皆様にお伝えしておきたい点もあって。物語のカギが「聖なる遺体」なんです。これだけで第7部「SBR」を読んだ方ならピンとくると思いますが、さらに第8部の時間軸が、ちょうどカツアゲロードの直後なんです。メンバーが定助と会って遺体の話をすると、定助は「遺体」のことを知っているんです。ちょうどその伝説を聞いたばかりなので。現時点で連載中の第8部を、オリジナルの物語に絡められているのが本当にうれしかったですね。最終的には、いち「ジョジョ」ファンとしても面白い物語を作ることができたな、と感じています。この作品が好きであればあるほど「これ、アリなの?」と思うようなシチュエーションを山ほど詰め込んでいます。
——ストーリーモードのボスとして、オリジナルキャラの「天国に到達したDIO」が登場します。
松山 「天国に到達したDIO」については、デザインコンセプトから見た目、肌、髪型、イメージカラーに至るまで、幾度となく編集部、先生にチェックして頂きました。ゲーム中の攻撃方法や表現にも先生のこだわりが発揮されており、開発期間の許されるギリギリまで、それこそアフレコも録り直したくらい、こだわって作り込んでいます。
——最初からDIOをボスにするつもりだったのですか?
松山 当初はもっと複雑でややこしい物語を予定していました。ストーリーの軸が3本くらいあったのですが、要素が多すぎてまとまりきらなかったので、先生のアドバイスで整理した結果、DIOがボスとして登場した形になります。荒木先生は元々あまりゲームを遊ばれないと伺っていましたが、そんなことは関係ないんだな、と改めて感じましたね。私たちもゲームのプロなので、ゲームとしての表現方法はわかっていだつもりでしたが、今思えばゲームどしては成立していても「ジョジョ」ではなかったと思います。先生のアドバイスで、しっかりした「ジョジョ」になりました。私たちも勉強になりましたし、成長できたと思います。 「『天国に到達したDIO』は時間の許すかぎり作り込みました」
——最後に、UJ読者にメッセージをお願いします。
松山 せっかくのUJ読者様ですので「常秀ですみません」と言わせてください(笑)。「ジョジョリオン」は連載中の作品ですし、現時点で主人公の定助の正体すらわかっていません。とはいえ、第8部からは定助だけの参戦というのでは、せっかくのタッグバトルがもったいないので、今回は常秀をパートナーに選ばせて頂きました。正直、CC2として20年ゲームを作ってきましたが、これまで作ったゲームの中で最も卑劣なキャラになったと思います(笑)。こんなムカつくキャラは過去にいません! 本作では彼の卑劣さをシステム化していて、例えばロックオンする対象を強制的に自分に向かせられます。これは常秀だけの技で、ほかにも逃げれば逃げるほど強くなるとか、表情も含めてこれほどムカつくキャラはいないでしょう。
できればオンラインモードで常秀は使わない方がいいです。嫌われます! ワムウとか、気持ちのいいキャラがお勧めです(笑)。彼のイヤらしさがUJ読者の皆様にも伝わるかと思いますので、1人用モードで是非楽しんでください。・・・オンラインではなく(笑)。
——ありがとうございました!