Kanto Federation of Bar Associations (November 2011)

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Published November 5, 2011
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Kanto Federation of Bar Associations (November 2011)
Interview Archive
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An interview between Hirohiko Araki and the Kanto Federation of Bar Associations. It was published on their official website kanto-ba.org on November 5, 2011 at the Chuo Sogo Law Office. Araki was interviewed by Takeshi Nishioka, Vice Chairman of the Public Relations Committee. This was part of their new project Kanto Bar Association Moves Forward (関弁連がゆく, Kanbanren ga Yuku).

Interview

Transcript

今回の「わたし」は,漫画家の荒木飛呂彦さんです。 代表作である『ジョジョの奇妙な冒険』は,1987年から連載が開始され,現在,第8部を連載中です。最近では,パリのルーヴル美術館からの依頼でルーヴル美術館に作品を展示したり,ファッション誌でイタリアのブランド 「GUCCI」とコラボレーションをして原画展を開くといったマルチな活躍をされています。 独特の画風と台詞まわしで熱狂的なファンを持つ荒木先生に,長期連載の秘訣や制作裏話等をうかがってまいりました。


―始めに子どもの頃のお話をお聞きしたいのですが,漫画を描き始めたのはいつごろからですか。

荒木さん 近所の絵画教室に通っていたこともあって,子どもの頃から絵を描いていて,小学生の頃には漫画のオリジナル作品を描いていました。

―小学生の頃からオリジナル作品とは驚きですね。

荒木さん 周りの友達も皆,漫画を描いていて,わら半紙で本を作ったりしていました。僕が子どもの頃は,漫画が盛り上がっていて,時代として,漫画本を買いに本屋に走るという熱狂があったんです。

―漫画家になることについて,ご家族の反応はどうでしたか。

荒木さん 当時は,漫画に対するイメージがあまりよくありませんでしたので,家族は反対してましたね。親に隠れて墨汁を使って漫画を描いていました。

―プロの漫画としてご活躍されている現在も,手で描いてらっしゃるんですか。

荒木さん 僕はパソコンは使わず,全て手描きです。色を塗るときも手で塗っています。そうすると,仕事で利き手の右手ばかり使うことになりますので,体のバランスをとるために,ドアを開けるときなど,日常では出来る限り左手を使うように心掛けています。

―連載を続けていて一番大変なことは何ですか。

荒木さん ぶれないということでしょうか。自分を信じていないと,どうしてもぶれてしまうんです。目標を設定していても,迷うことはあります。読者の反響がないと虚しくなりますしね。

―締め切りを守るというのも大変ではないでしょうか。

荒木さん 連載を持つ漫画家というと,寝られない,お風呂に入れないというようなイメージがあるかもしれませんが,僕は若い頃から規則正しく生活しています。徹夜をするようなこともまずないですね。締切を破ったことも一度もありません。

―今までずっと締切を厳守されているというのはすごいですね。

荒木さん 僕は次の締切ではなく,次の次の締切まで考えて作品を描いています。ダヴィンチが生涯をかけてモナリザを描き続けたように,絵は無限に手を加えて描けるので,終わりどころは自分で決めることになります。連載の場合には,次々回の締切のことを考えて,手を加えるのはここまでにしようと決めるわけです。

―連載を描くときは,どこまでストーリーを考えて描き始めるんですか。

荒木さん ストーリーは,ラストを考えておく程度です。途中のストーリーは,連載を続けて行くうちに,時代に合わせて変えていくこともありますね。

―様々なアイディアはどのようにして考えるのですか。

荒木さん 机の上で肘をついて考えることが多いですね。あとは,画集や科学雑誌等を見て,例えば,惑星の動きや分子の絵を見てひらめくこともあります。

―代表作の『ジョジョの奇妙な冒険』(*以下,「ジョジョ」と言います。)にまつわるお話についてお尋ねします。ジョジョは,印象的な台詞が多く,台詞を百人一首にしたものも発売されています。どのようにして台詞を思い付くんでしょうか。

荒木さん 台詞は自然に,ですね。コマ割りをしているときに,このコマでもう少し登場人物に喋らせようと思うと,自然に台詞が出て来るんです。百人一首で台詞を見て,こんな台詞あったかなって思うときもありました。自分で忘れている(笑)。百人一首も遅いです(笑)。

―ジョジョの第1部が始まってから25年になろうとしていますが,ジョジョの中で,一番思い入れのあるのは第何部ですか?

荒木さん その時に,それぞれ描いている部が思い入れがあるといえますが,その中でも特に第4部に思い入れがありますね。

―第4部では日常に潜む恐怖を描いていますよね。

荒木さん そうですね,第3部までは,神話的なものを追って来たんですが,第4部では,街の隣に住んでいる人といった日常を描くのがいいと思ったんです。

―その第4部には,「岸辺露伴」(きしべ・ろはん)という漫画家のキャラクターが出てきます。第4部の設定が先生の出身地の仙台市ですし,同じ漫画家ということもあって,露伴は荒木先生自身をモデルにしているんでしょうか。

荒木さん それはよく聞かれる質問ですが,そうではありません。第4部に露伴が蜘蛛を食べるシーンがあるけれど,僕は蜘蛛を食べたりしないですし(笑)。ただ,露伴は僕にとって憧れの存在なんです。

―そうなんですね。僕は露伴は先生のイメージに近いと思っていましたので,このインタビューをお願いしたときも,「だが断る。」(第4部に出てくる露伴の名台詞)と言われないか心配していました(笑)。

荒木さん はは(笑)。

―露伴は,ジョジョ以外にも,「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」(ルーヴル美術館のプロジェクト作品)や最近の女性雑誌(「SPUR」)での「岸辺露伴 グッチへ行く」といった作品にも出てくることからすると,特に思い入れの強いキャラクターなんですか。

荒木さん そうですね。露伴は,完成されていて使いやすいキャラだからともいえます。細かいところまでキャラクターが設定されていると使いやすいんです。ルーヴルをテーマに作品を描くように依頼されたときも,最終的に「じゃあ露伴に行かせてみよう。」と思いました。

―ルーヴル美術館での作品展示や,イタリアのブランドGUCCIとのコラボレーションについてはどのような感想をお持ちですか。

荒木さん ルーヴル美術館からアート的な評価を受けたことはもちろん光栄なことですが,僕は,アートと漫画をあまり違ったようには考えていません。漫画には絵とストーリーがあるとして,元々僕は絵を描く方に重きを置いているんです。GUCCIとのコラボレーションについては,僕は取材も兼ねてよくイタリアに行っていましたので,運命的なものを感じました。

―今日も全身,GUCCIに身を包んで来られるのかと思いました(笑)。

荒木さん (笑)。露伴の展覧会の開催された新宿のGUCCIで,僕の知人が随分買い物をしているのを見たので,「無駄遣いしちゃ駄目だよ。」って注意してたら,「無駄遣いじゃありません。」とGUCCIのスタッフに言われたぐらいです(笑)。

―ジョジョの第6部では悪徳弁護士が登場しました。今後,是非とも正義の味方である弁護士も描いていただきたいのですが(笑)。

荒木さん 正義も極端になると悪になると思うんです。そうすると,正義の味方の弁護士を描いても,結局,悪になってしまうかもしれません(笑)。あと,悪の方が,描くのが楽なんです(笑)。

―ところで,先生のお顔は随分とお若く見えますが,どのように若さを維持されているんですか。

荒木さん 最近,よく聞かれる質問です(笑)。東京の水道水で顔を洗って,洗顔料も使ってないぐらいですよ。

―法律的なことも伺うと,ご自分の作品が勝手に使われるといった著作権侵害のトラブルに遭ったことはありますか。

荒木さん 特にないですね。露骨に思い切り勝手に使われたら嫌ですが,基本的には専属契約を結んでいる集英社にお任せしています。著作権というのは,ある程度は文化というか,皆のものなのかなとも思っています。

―荒木先生と集英社(出版社)との契約がトラブルになったことはありませんか。

荒木さん 集英社とは,デビューのときから専属契約させていただいていまして,これまで,もめたことは一度もありませんね。

―もめていないうちにしっかり契約書を確認しておくといいかもしれません(笑)。僕の周りには先生の漫画の熱心なファンの弁護士がいるので,先生に何かあったときには,皆で馳せ参じる心づもりです(笑)。

荒木さん わかりました(笑)。そのときは,どうぞよろしくお願いします。

―本日は有り難うございました。

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