Interview:Capcom (November 1998)
Interview
11月某日(晴れ)
カプコン東京支店で「ジョジョの奇妙な冒険」の原作者、〈荒木飛呂彦先生〉(以後「荒木先生」)とカプコン最新格闘ゲーム「ジョジョの奇妙な冒険」制作スタッフとの熱い対談が繰り広げられた。
今回はなんと完成間近のアーケードゲーム「ジョジョの奇妙な冒険」を荒木先生に遊んでもらい、大いに語ろうという企画だ。 対談会用の会議室にゲームを用意して待つこと1時間。
このゲームを気に入ってくれるだろうか?」「はたして、楽しんでもらえるだろうか?」などの様々な不安な気持ちが小心者の企画マンの心を何度となく駆けめぐる。(ちょっと大げさ?)
ゲームの完成を間近に控え、もう2日も寝ていない。家には6日も帰っていない。全てはこの日のためといっても過言ではないのだ。この日の…(かなり大げさ?) 世界で一番にこのゲームを気に入って欲しい人に遊んでもらうために…。そして…!
企画マンO 著書、「忘れられぬジョジョ日記」より抜粋]
さっそうと一同の待つ会議室に現れる荒木先生。さわやかな感じでかっこいい。
荒木先生: 「どうも!はじめまして荒木飛呂彦です。」
スタッフ一同: (かなり緊張して)「はじめまして…。」
……各自、軽い自己紹介が交わされる。
企画マンO: 「では早速ゲームを見ていただけますか?」
荒木先生: 「いやぁ、僕あまり格闘ゲームは得意じゃないんですよ。」「うまくできるかなぁー。」
……全員、真剣な眼差しで荒木先生のプレイを見守るッ!
スタッフ一同: (ドキドキ…)
荒木先生: 「オラオラッ!おぉ、すごい気持ちいいですねぇ!」「わぁぁぁ、やられるよ~!」
キャラマンH: 「だいじょうぶかな…?」
スタッフ一同: (ドキドキドキドキドキドキ…)
……とりあえず1プレイが終わる。
荒木先生: 「いやぁ、スゴイ楽しいですよッ!これは!」「次はアレッシー使っていいですか?」
……すかさずポルナレフを子供にする。
荒木先生: 「あはははっ!面白いッ、すごいなぁ原作通りだぁ!」「わぁ!To Be Continuedまで出てる!すごい凝ってますね!!」
企画マンO: 「ど、どうでしょうか?」
荒木先生: 「楽しいですよ、本当に!感動しますよコレは!!」「とにかく気持ちいいし、アレッシーなんか、すっごく面白い。」「このキャラも使ってみよう!」
スタッフ一同: (ホッ)
荒木先生: 「殴った感触が伝わってくるんですよね。」「やっぱりこのゲームは、承太郎のしかも〈オラオラ〉が一番重要だと思うんです。」「そしてそれがムチャクチャ気持ちいい。」
企画マンO: 「(う、うれしい~!)一番気をつけたところですし、かなり時間をかけたところですね。」
荒木先生:「格闘ゲームって言うことはやっぱり[ドカドカ殴ってスカッ!]っていうのが、一番大事なんだと思うんですよ。それがホントに良くできていますね。」「音もすごくいいです。」
企画マンO: 「担当者に伝えておきます、喜ぶだろうなー。」
荒木先生: 「あと遊んでいてすごく感じるのは[あぁ、このゲームを作った人たちは、本当にジョジョを愛してくれているな。][本当に楽しんでこのゲームを作られたんだなぁ。]ということですね。」
企画マンO: 「やっぱり楽しんで作られたゲームかどうかというのは、ゲーム自体に出てしまいますね。」
荒木先生: 「ジョジョらしさがゲーム中の色々なところに込められてるのが、とてもうれしいです。」 G・プロデューサー:「そこは彼らが一番こだわったところなんですよ。」「もう制作者としてもジョジョファンとして、妥協はなかったですね。」
荒木先生: 「キャラクターにイギーがいるだけでもうれしいですね。思わず使いたくなっちゃう。」
G・プロデューサー: 「僕も企画書を見て[イギーも使えます!]って書いてあって単純に嬉しかった。」「よし、作れって!」(笑)
荒木先生: 「可愛いし良く出来ていますね。やっぱり弱いんですか?」
企画マンO: 「いやー、馬鹿にできないんですよこれが!」「イギーはギャップが楽しいキャラクターにしました。」「本体のときとスタンドのときと。」「いつもはか弱い小犬がスタンドを出すと…」
キャラマンF: 「恐ろしく強くなる!」
企画マンO: 「その変貌ぶりが面白いキャラクターにしました。」「もちろん本体でも闘えるように作ってますよ。」
G・プロデューサー: 「敵の攻撃当たらないしね、小さいから。」
荒木先生: 「なるほどなぁ!考えられてますね。」「やっぱりそういうギャップというものが非常に大事なんですよね、ゲームだけに限らないと思いますし。」「意外性がないと面白くないですよね。」
キャラマンH: 「あと、苦労したのは敵キャラたちの攻撃方法のアイデアですね。」
キャラマンF: 「そうそう、原作で1~2回しか出てこない奴なんかネタがないんですよ。」「ポルナレフやアブドゥルは、ネタに不自由しませんでしたが。」
荒木先生: 「なるほどそうかぁー。」
企画マンO: 「[コイツはこんな攻撃したらおかしいよね。]とかしょっちゅうミーティングして。」「[でもゲームとして必要だ!][じゃあ、こうしよう!]みたいに。」
荒木先生: 「敵キャラはデーボとかも、スゴク個性が出ていてキャラクター選びとしても絶妙ですね。」「やっぱりゲームにはこういう陰険な奴も必要ですね!」
キャラマンF: 「やっぱりキャラクター選びは悩みましたね。」「原作が大好きなだけにあのキャラクターも出したい、このキャラクターも出したいってなっちゃう。」
キャラマンH: 「そうそう、気がついたら第3部のキャラ全員出そーみたいになっちゃって。」
企画マンO: 「そりゃ無理だぁー。」
荒木先生: 「でも、このセレクトはかなり絶妙ですよ。」「承太郎たちはお約束として、敵側が。」「うまく色々なタイプがそろっていますね。」
キャラマンH: 「先生に書き下ろしていただいた、ミドラーも紅一点としていますしね。」
荒木先生: 「そう、ミドラーがね、迷ったんですよ。」「[こんな風に]みたいな指定が特になかったんで、僕の方でいろいろ考えてデザインしました。」
企画マンO: 「どんな風にですか?」
荒木先生: 「やっぱりゲームのキャラクターなんで[選びたい!]、[どんな奴だろう?]と遊ぶ人に思わせるキャラクターにしないと…と。」
スタッフ一同: 「おおぉ!」
企画マンO: 「スゴイ!、いやぁそれは僕らも新しいキャラクターを作る上で、いつも一番神経を使うところなんですよ。」
キャラマンH: 「僕らとしては原作には顔が出ていなかったんで、みんなで[どんな顔なんだろう?]みたいな好奇心が強かったですね、そこは単純にファンとして。」
キャラマンF: 「イラストが届いてみんな[あぁ、こういう女の子だったんだ]って。」
荒木先生: 「じつは、ミドラーは原作では最初から顔は出すつもりはなくて…」
スタッフ一同: 「わぁ、やっぱり!!」(爆笑)
キャラマンH: 「やっぱり各キャラ毎に細かい設定は有るんですか?」「同じ敵側のキャラでもディオにたいして[忠誠心で行動する][金で雇われている]などの。」
荒木先生: 「あります。ディオに惚れていたとかね。」
キャラマンF: 「やっぱりそうですか。」
荒木先生: 「でも漫画中ではあえて[そういう部分を]描かないこともあります。」「無理に入れるとかえって判りにくくなってしまうんですね。」
キャラマンH: 「今からでも[ゲームに]こんな風なアイデアも入れては?みたいな要望はありませんか?」
荒木先生: 「いえいえ、ここまで作り上げられているだけで、もう大満足ですよ!」「ましてやこれ以上要望なんて…」(笑)
キャラマンH: 「これから実は△△の計画があるんで、アイデアや要望を頂ければもうガンガン入れますよ!」
荒木先生: 「そうなんですか!すごいなぁ、いやぁ~どうしよう。」(笑)
キャラマンF: 「もう△△なんて全○○○ですから!」
荒木先生: 「へぇー、すごく楽しみですね!」
キャラマンH: 「ところで!コミックの[ジョジョ]の今後の展開なんですけど、ホントの所どうなるんですか?」
imageスタッフ一同: 「オイオイ!!」
荒木先生: 「えーっとですね……」
キャラマンH: 「やっぱり○○が××で△△ったりするんですか?」
荒木先生: 「あっ、それ考えました!」(笑)
キャラマンH: 「××が△△の□□という風になるのでは??」
荒木先生: 「イヤイヤ!」(笑)
スタッフ一同: 「だめだ、もう完全に単なるジョジョファンになっちゃってるよ。」
キャラマンH: 「それとも□□の◇◇が……」
……こうして〈荒木比呂彦先生withファンの集い〉は永遠と続いていったのだった……。 [1]