Interview:ARAKI x Arakawa (2011)

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Published July 19, 2011
Interview:ARAKI x Arakawa (2011)
Interview Archive

Interview between Hirohiko Araki and Hiromu Arakawa, manga artist.

Interview

Untranslated

『ジョジョの奇妙な冒険』は勇気をくれる漫画
荒川
荒木先生の作品は『バオー来訪者』から読ませていただいています。もちろん『ジョジョの奇妙な冒険』(以下:『ジョジョ』)も第1部からずっと愛読していまして。今日はお会いできて光栄です。どうぞよろしくお願いします!
荒木
おお〜! そんな昔から読んでくださっているとは、嬉しいですね。ありがとうございます! 
荒川
小学生の頃、姉が「少年ジャンプ」を買っていまして。納屋に積んであったのを何気なく手に取ったのが、ちょうど『ジョジョ』第1話の掲載号だったんです。農機具などを入れておく、薄暗い部屋で夢中になって読みました。
荒木
それはムード満点だ(笑)。
荒川
怖さ倍増でしたね。もうハマらないわけがない! という状況でした(笑)。当時は子供だったので、波紋法をマネしたり、「こんなスタンド欲しいー!」と騒いだり(笑)。そして今回お会いするにあたって、改めて「私にとっての『ジョジョ』の魅力とは」を考えてみたのですが、やはり勇気をくれるところではないかと。
荒木
『鋼の錬金術師』(以下:『鋼』)もそこが魅力ですよね。読んでいると、人間の根源について考えさせられます。錬金術のシステムを通じて、自然界や人間界の仕組みまで追求していく。「おお!」って思いました。
荒川
わぁ、ありがとうございます! その、人間の根源を考える時「勇気や誇りって何だろう?」という部分は外せないと思うんです。そこへいくと『ジョジョ』の登場人物は敵も味方もみんな誇りをもって、懸命に生きている。「あっぱれ」だと思います。特にイギーは……あの、ガムをクチャクチャやってたイヌに泣かされるとは……! あと、リサリサの逆さ煙草のシーンもグッとくるし、シュトロハイムのブレのなさもいいですね。本当、どのキャラも大好きです。
荒木
ははは(笑)。シュトロハイムはもう身体半分が機械鎧みたいなものだからね。『鋼』の世界にいても違和感ないですよ。僕は『鋼』ではアームストロングがいいですね。こういう、真面目でありつつ趣味に走る人は好きです。特にシグと一緒にムキッとポーズをとるシーンは楽しい。逆に、アルがボロボロになるシーンは辛いです。何かの拍子に血印が消えたら……と思うとハラハラしちゃって。
荒川
カバーしとけって話ですよね(笑)。
「エルリック」は危険!?‘70〜’80年代の少年漫画界
荒川
『ジョジョ』の魅力といえばもうひとつ、独特のセリフ回しがあると思います。「ジョジョの奇妙な百人一首」のCDを仕事場で流したりするんですけど、『ジョジョ』を読んだことが無いアシスタントさんまでなぜか暗唱できるという。
荒木
それはすごい(笑)。僕は「なぜ戦うのか」とか、動機や理由づけは意識してるんですが、このセリフを流行らせようとか、読者を泣かせようとか、その辺りはあまり考えていないんです。だから、そう言っていただけると嬉しいですね。
荒川
日常生活で、無意識のうちに『ジョジョ』のセリフが出ることがあるんですよ。たぶん荒木先生が思っていらっしゃる以上に、読者の血肉になっているんだと思います。それだけ強い言霊が宿った作品なんだなあと。
荒木
ただ、ホラー要素がある作品なので、あえて汚い言葉も使って……美しい部分ばかり描いてちゃダメって思いはありますね。「白と黒」「善と悪」「美と醜」といった対極的なものを頭に置きつつ描いているので、人間のゲスな部分も避けずに踏み込もう、と。
荒川
なるほど。
荒木
でもね、こうして認めてもらえたのは連載開始から10年くらい経ってからじゃないかなあ。当時は外国が舞台で、主人公も外国人という設定は難しいと言われていて。編集企画段階で落とされちゃうんです。うん、当時は僕も生意気だったんですかね。そういう少年漫画のルールやジンクスに挑戦したいという思いもありました。「ジャンプ」の基本原則である「友情・努力・勝利」さえ守っていれば、横文字でもいいじゃないかと。
荒川
しかも、物語の入り口はアステカですよね。
荒木
わかりにくすぎ(笑)!
荒川
いや〜、私のようなオカルト好きには、もうたまらないですけれども。
荒木
怪奇系の大河ドラマも、当時の漫画界ではヒットしないと言われていたんです。たまたま、こういう世界観が好きな編集者が後押しをしてくれて……『ジョジョ』を連載させてもらえたのは奇跡だと思いますね。だから『鋼』の「エルリック」というネーミングは、当時だったらかなりキケンでしたよ(笑)。
荒川
ははは、ボツだ(笑)。
荒木
その辺りはすんなり決まったんですか?
荒川
エニックス(現・スクウェア・エニックス)はゲーム会社なので、その点はスムーズだったと思います。むしろRPGに慣れた読者を想定していましたから、ファンタジーの香りがするネーミングがいいのかなと。
荒木
そうなんですか。時代は変わったんだなあ。[1]

References

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