Ballad Kitaguni (December 2023)

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Published December 19, 2023
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JOJO magazine 2023 WINTER Cover

An interview with Ballad Kitaguni, author of There's No Love Like a Parent's. It was published in the Winter 2023 issue of JOJO magazine, released on December 19, 2023.

Interview

Transcript

北國ばらっど先生
Interview


――今回のオファーを受けられた経緯を教えてください。

北國:以前、『岸辺露伴は動かない』の短編ノベライズをさせて頂いたご縁もあってお話を頂いたんです。僕は1989年生まれで、少年ジャンプで連載していた第5部を読んでいた世代なので、飛びつくようにお受けしました。

――お気に入りのキャラクターは誰ですか?

北國:ミスタ、ナランチャ、プロシュート、ペッシ……でも、みんな魅力的だから一番は選べませんね。そのほかのキャラでは、ギャングの忠義と生き様を体現し、衝撃的な退場劇を見せたペリーコロさんが大好きです。

――作家として、『ジョジョの奇妙な冒険』から影響を受けたことはありますか?

北國:特にホラー、ミステリテイストの作品を執筆するにあたって、『ジョジョ』という作品の「平穏な情景に奇妙な違和感が侵食してくる」テンポ感には強く影響を受けたと思います。ヒーローと悪役が持つ信念、正義と悪の価値観、日常生活までディテールを作りこまれたキャラクター、創作面で影響を受けたことは数えきれませんが、何よりもその「奇妙な冒険」が織りなすスリルと浪漫は強く心に焼き付いています。

――本作で、メインキャラクターにギアッチョとメローネを選んだ理由を教えて下さい。

北國:やはり、この二人が好きだからですね。特にメローネの登場する「ベイビィ・フェイス」の一連の話は急転直下で襲ってくるチーム一網打尽のピンチと、孤軍奮闘するジョルノの成長と逆転が描かれているアツいエピソードで、「ベイビィ・フェイス」というスタンドも含めて大好きなんです。また、文字媒体で表現するにあたってギアッチョほどセリフ回しに個性の出るキャラクターはいないと思いました。

――確かに、本作ではギアッチョとメローネの軽妙な会話劇が印象的でした。

北國:この二人の会話シーンは原作では多くないのですが、コメディチックな会話については第4部の仗助たちや、第7部『スティール・ボール・ラン』のジャイロとジョニィの掛け合いを参考にしました。でも、そもそも僕はコメディ寄りのライトノベルを書いていたので、二人の会話は自然と浮かんできたんです。執筆中はギアッチョに喋らせるのが楽しくて仕方ありませんでしたね。

――執筆にあたり、苦労したことは何ですか?

北國:メローネは「ベネ!」や「ディ・モールト良いぞッ!」といったイタリア語交じりの口癖、ギアッチョは独り言でめちゃくちゃキレるなど、この二人には口調に強い個性があるので、執筆するにあたってそれに引っ張られすぎないようにするのが大変でした。安易に使いたくはない、でも印象的なフレーズだから使いたい……という葛藤が大きかったです。特にギアッチョを何にキレさせるかは凄く悩みましたね。

――どのような着想から、今回の小説を執筆したのでしょうか?

北國:まずはストーリーの中心軸について、「どういうワードが一番、ぱっと見て面白いか」を考えて、「ベイビィ・フェイスの反抗期」という文が浮かび、それから膨らませていきました。

――『ジョジョ』の世界を描く上で、特に心掛けていることがあれば教えて下さい。

北國:とにかく、一旦頭の中で絵にして想像してみることです。『ジョジョ』の魅力はたくさんありますが、漫画としての確固たる空気感こそが何より大きいと思うんです。荒木先生の絵、コマ割り、セリフ回しが織りなす世界が素晴らしい。ですから、絵のない小説では文章ならではの表現を心掛けつつも、情景描写や文のテンポから「『ジョジョ』のページ」がきちんと想像できるか、ということは常に心がけて書いています。

――本作で表現したかったテーマがあれば、教えてください。

北國:「プロフェッショナルの心構え」というものは、いつもひとつのテーマとして考えています。今回はコメディ路線の作品なので強く意識したつもりはなかったのですが、「その道のプロがミスを犯したり、センスの衰えを自覚したら」という部分は意識したかもしれません。

――最後に、読者へメッセージをお願いします。

北國:『ジョジョ』のキャラクターはみんな魅力的で、「もっと動いて喋っているところが見たい!」と思わせるキャラがいっぱいいますよね。僕にとってはギアッチョとメローネがまさにそうなんです。だから、この二人の会話を手掛けることができたのが幸せだし、僕と同じように思っていた方が、本作の会話劇を楽しんでいただけたなら、とても幸せです。


PROFILE 北國ばらっど きたぐに・ばらっど
2014年、『アプリコット・レッド』で第13回スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞を受賞し、デビュー。『呪術廻戦』や『岸辺露伴は動かない』のスピンオフノベライズを担当し、岸辺露伴シリーズでは、「くしゃがら」「シンメトリー・ルーム」「黄金のメロディ」などを執筆。近年では、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のノベライズを手掛けている。


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