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v名作の条件は魅力的な悪役がいること

編集者が「この漫画、何かが足りないんだよね」と言ってくるときは、90%以上の確率で「悪役が立っていない」ということじゃないかと思います。僕も編集者から「この悪役はちょろいんじゃないですか」「なんだか弱すぎますよ」などと指摘されたりしますが、人気がある漫画には必ずすごい悪役がいますし、やはり魅力的な悪役がいることは名作に欠かせない条件なのです。

悪役とはつまり、主人公の行く手を阻む何かであって、主人公が乗り越えていかなくてはいけないものです。 少年漫画に多いラスボスは、確かにわかりやすい「悪」ですが、今の時代、単なる最強のラスボスというだけでは、ちょっと物足りないというか、なかなかリアリティーが出せないのではないかなという気もします。「悪役=思い通りにいかない困難」とすれば、今の時代の困難はいったい何なのかということを見つけられれば、読者がリアリティーを感じられる「悪」を生み出せるのかもしれません。

『バットマン』シリーズのラスボスであるジョーカーを主人公にした映画『ジョーカー』は、そうしたリアリティーのある「悪」を描いた素晴らしい作品だったと思います。主人公のアーサーは殺人者ですから、本来であれば、観客が嫌悪する対象のはずです。しかし多くの観客にとって、格差社会の中で夢も希望も押し潰されている彼の境遇は、「そうだよね、わかる」と思えるものだったでしょう。だからこそ、あの映画の中で、アーサーはヒーローになれたのだと思います。

『ジョーカー』のように、多くの人が体験してきていること(たとえば、いじめられたことがある、周囲と馴染めないで居場所がない疎外感、エッチな本を布団の下に隠しているなど)を描くと、そのキャラクターがたとえ殺人鬼だとしても、読者は気持ちを重ねられるということは、悪役を作る上で覚えておいてほしいひとつのポイントです。

また、一口に悪役と言っても、わかりやすい暴力的な悪役だけではありません。政治的な思想の悪もあるだろうし、恋敵、主人公を裏切る友達など、様々なタイプの悪役がいます。中でも一番厄介な悪役は、主人公の身近にいる親しい人(仲間、恋人、親など)なのに無意識のうちに主人公の人生を悪い方向に導いているというパターンです。その人のアドバイスに従ったらひどい目にあったとか、その人のせいで財産を失っていくとか、表面上は味方のはずなのに、実は邪魔している。少年漫画にはあまりいないタイプの悪役ですが、おそらく現実にもそういう存在がいるんじゃないかなと思います。

そうやって考えていくと、悪役を作るというのは、「悪とは何か」という捉え方によっても全然違ったキャラクターになるし、けっこう深い作業なんです。だから、悪役には「哲「学」が必要なんですが、これがなかなか難しい。そこをとことん考え抜くことで作品のレベルは飛躍的に高まると僕は思っています。

「哲学」というと難しく聞こえますが、誰でも自分がイメージしている悪があるはずです。たとえばそれは、学校の中の悪だったり、家の近所の悪だったり、職場の悪だったり、あるいは、よく行くお店などにも悪があるかもしれません。まずは、そういう自分が悪だと思うものをイメージしながら、悪役の身上調査書を書いてみることから始めてみましょう。

ここまで色々書いてきましたが、文章だけだとわかりにくいと思うので、そういう身近な悪役の作り方を実際にやってみましょうか。たとえば、岸辺露伴の担当編集者の泉京香、あれも実は悪役だと思うんですよね。 (次号につづく)