Tokyo Shimbun (July 2012)

Published July 6, 2012
Missing translation

An interview between Hirohiko Araki and Akiya Takahashi in commemoration of the opening of an Edward Burne-Jones art exhibition. It was published in the evening edition of the Tokyo Shimbun newspaper on July 6, 2012.[1]

Interview

 
① - "The Rose Bower"
 
② - "The Death of Medusa II"
 
③ - "The Doom Fulfilled"
 
④ - "The Wheel of Fortune"

漫画的視点で紐解く、バーン=ジョーンズ

高橋 エドワード・バーン=ジョーンズ(以下BJ)は、後期ヴィクトリア朝の英国を代表する画家のひとり。精緻な画風や類い稀なる構想力で描いた大型の絵画作品も多く見られます。彼の代表作のひとつでもあり、今回の最大の見どころでもある《眠り姫》―連作「いばら姫」①は、古来の伝承物語を着想の源に、彼がイメージを膨らませ、より物語性を高めて描いた作品です。

荒木 僕も彼の作品からは非常にストーリー性を感じます。主人公となる人物が立体的に見えますよね。もし彼が現代に生きていたら、アニメーターになってキャラクターや世界観を作る人になっていたかもしれませんね。漫画家的に見ると、背景も奥行きを意識しているというより、フラットで装飾的に描いているように思います。花などのモチーフが平面的に並んでいる様子は、まるでタペストリーのような魅力がありますね。

高橋 そうなんです。実は彼は教会堂のステンドグラスやタペストリーなどのデザインを幅広く手掛ける装飾デザイナーとしての顔も持っていたんです。

荒木 通常、絵を描く際、日本人は右から左へ描くと思いますが、彼は左から右に流れる構図で描いているように見えます。「見る」というより「読む」感覚に近い気がしますね。

高橋 彼は、壁面装飾にあたり、ひとつの主題につき数点を制作する連作画を好んでいたようです。実際に①は4枚の連作になっています。枚数は少ないけれど、絵と絵の間を繋げば、漫画になりそうな構成力があると思います。

荒木 中には1枚の絵の使い方が漫画のコマ割りのように見える作品もありますね。一気に見るのではなく、少しずつ読み解いていく、まさに漫画的です。

BJと荒木さんには同じDNAが流れてる!?

高橋 実は以前から、荒木さんの作品で見る登場人物のポージングや画面構成などにBJに共通するものを感じています。館内の若いスタッフ達も「運命の車輪」④はまさに“ジョジョ立ち※”を彷彿させる! と盛り上がっていて(笑)。

荒木 それは恐れ多いですね(笑)。僕の中では、BJはファンタジーを描く画家という位置づけ。彼は神話や伝説の登場人物を描く際もキャラクター性を深く理解して描いている気がします。だから人を惹き付ける絵が描けるのではないかな。②の筋肉の躍動感、③の剣や甲冑の細部、④の衣服の細かいシワの描写など、細部にわたる精密な描き込みは、同じく絵を描く者としてノッて描いてるのがわかりますね。また、背景をフラットに描くことで、人物の立体感をより際立たせています。これは僕も影響を受けているかも。

高橋 彼は装飾には並々ならぬこだわりがあり、そのあたりも荒木さんとの共通点では?実際、甲冑を描くために実物を作らせたという話もあるんです。荒木さんが肉体の描き方やポージングに関して影響を受けたものはありますか?

荒木 1980~90年代にかけて、男性漫画の世界では男性の身体を筋骨隆々に描くという流行がありました。僕が当時参考にしたのはブルース・リーやミケランジェロですね。BJが描いた「ペルセウス」に加え、イタリアの彫刻や絵画もジョジョを描く際に大いに参考にしました。(笑)

高橋 納得です。BJもイタリアへ旅行した際に、ミケランジェロの作品に出合い、影響を受けたといわれていますから。大丈夫ですか、創作の秘密に踏み込んでしまったような......。(笑)

荒木 過去の巨匠からは、大いに学びたいと思っているので大丈夫です。(笑) 構図的に見ると、③は現代のアニメの世界。そのままでカードのようだし、タイトルを入れて漫画の表紙に使えそうです。

高橋 古典だからとかしこまらず、漫画的視点から読み解いて、共通点や違いを見いだす面白さもありますね。

荒木 美術に限らずですが、私は実際に体験することやオリジナルに触れることを大切に考えていて、ぜひ、若い方々にも本物に触れてほしいですね。


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