A Young Person's Guide To JoJo (March 2013)

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Published March 19, 2013
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A Young Person's Guide To JoJo (March 2013)
Interview Archive
A Young Person's Guide To JoJo For Upper Class Persons

Interview with Hirohiko Araki published in the "A Young Person's Guide To JoJo For Upper Class Persons" booklet. It was released on March 19, 2013.[1]

Interview

「"JOJO"と"TRAVELLER"で"JOJOVELLER"。このタイトル、ボツにされるかと思ってた(笑)」

 2012年に幅広く展開された『ジョジョ』25周年企画。それらの企画を彩ってきた荒木飛呂彦のイラストの数々はもちろん、描き下ろしイラストも収録した最新画集「JOJOVELLER」がついに刊行されます。「JOJO-A-GO!GO!」以来、13年ぶりとなる画集刊行に向けて作業中の荒木先生に、気になる内容について語ってもらいました!

——「JOJO-A-GO!GO!」以来13年ぶり、3冊目となる画集の刊行がいよいよ決まりました。タイトルは「JOJOVELLER(ジョジョベラー)」ですが、このタイトルがつけられた経緯から聞かせてもらえますか?

荒木⦿「JOJOLION(ジョジョリオン)」とか、ファッション誌の「SPUR」から出してもらったムック「JOJOmenon (ジョジョメノン)」とか、「ジョジヨ○○」にしたくて(笑)。まあ、作品の舞台が世界のいろんな場所だったんですけど、第8部で日本 に帰ってきたって意味もあって。

——『ジョジョ』の旅、みたいな。

荒木⦿うん、「JOJO」と「TRAVELLER」で「JOJOVELLER」。このタイトル、ボツにされるかと思ってた(笑)。「意味わかんねーよ、何言ってんの?」って言われるだろうなと思いつつ、軽い気持ちで言うだけ言ってみたら、「いいね」って…(笑)。

——ウソだ(笑)。「絶対これでいく!」みたいに言ったんでしょ。

荒木⦿いやいや、ホントホント(笑)。でも、10年前なら絶対ボツにされてたと思う。

——まあ、『ジョジョリオン』があったからでしょうね。で、『ジョジョメノン』ってきて…みんな諦めたんじゃないです?(笑)

荒木⦿かもしれない(笑)。要するに『ジョジョ』だってわかればいいのかなって。『ジョジョ』ってついてて、何となく雰囲気をわかってもらえれば。

——そういうフィーリングと、作品内の舞台で世界を巡ってくる旅とか、『ジョジョ』の世界や歴史を巡る旅とか、そういうイメージがあわさって、という感じですか?

荒木⦿まあ、そうですね。

——「JOJO-A-GO!GO!」はページをめくっていくと絵の大小があったり、リズムやメロディラインを感じさせる動きのある構成でした。今回はそういう構成上のテーマはありますか?

荒木⦿余白みたいなものを活かしたいな、っていうのはあります。『ジョジョ』の絵って、画集で絵をいっぱい見てると疲れるじゃないですか(笑)。ガーッとあるとさ。だから、そういうふうになんないように。

——第6部~第8部の絵が中心になると思うんですけど、わりと強めのエネルギッシュな絵より、今のパステル傾向の絵に全体のたたずまいを寄せていくイメージですか?

荒木⦿そうですね。落ち着いて、作品の遍歴とか、そういうのを見てもらいたいかな。

——『ジョジョ』の流れみたいな。今回は「名作解説」というか、お気に入りの絵の解説コーナーもあるとか。「この時はこんなこと考えて描いてた」とかが明かされる訳ですね。解説書いてて、今になって気づいたこととかあります?

荒木⦿そういうのもあるかもしんないし、逆に忘れてることもあるかもしんない(笑)。まあ、これから書くんだけど。構図だとか、そういうことを解説する感じになるのかな。ここにはこういうモチーフを入れてるとか、ポイントがあるから。そういうのも楽しいのかなって思って。解説もあわせて絵に浸っていただけたら嬉しいですね。

——荒木さん自身は他の人の画集とかどんなふうに楽しんでます? 荒木飛呂彦流の「画集の楽しみ方」とかってあります?

荒木⦿仕事の合間にも見てたりするし、あとは音楽聴きながらとか。画集を見てて気になったら本物を見に行くとか。あそこの美術館にあるから、旅行してみようか、とか。逆に本物を見た後に画集を見るとかもあるし。それでまた気づくこととかもあるしね。


 画集にはスタンド事典の決定版「STAND BOOK」と、荒木先生と歴代担当編集者の証言で振り返る「HISTORY BOOK」という2冊の別冊が同梱されます。貴重な証言で振り返る。ジョジョ史』について聞きました。

——別冊の「HISTORY BOOK」には荒木さんのインタビューや、初代担当編集者の椛島さんとの対談、歴代担当編集者の証言も収録されるそうですね。何言われてると思います?(笑)

荒木⦿えー(笑)。適当に「あん時こうだったよー」とか、そういう感じじゃないの?「あの人、何も考えてないよ、実は」とか(笑)。

——(笑)。ちょっとインタビュー内容耳にしたんですけど、第5部スタート前の打合せではジョルノは女性主人公になる可能性もあった…なんて証言も出たとか。記憶違いかもしれませんが…。

荒木⦿おー、はいはい。女性主人公にするってのはね、毎回出てくるよ。部が変わる時は。だけど 「今はちょっと違うな」とかで却下したり。

——じゃあ、ジョルノの時もあったんですかね。「生命を生み出す能力だから女性だ」って話が打合せで出たっていう証言があったそうなんですよ。

荒木⦿ジョルノの時もあったと思いますよ、多分。女性を主人公にするっていうのは、『ゴージャス☆アイリン』以来、機会があれば考えてたから。

——ようやく第6部で実現した訳ですね。で、話を戻しますが、何言われてると思います?(笑)

荒木⦿何言われてる…想像つかない(笑)。

——逆に歴代担当に言いたいことはありますか?「あいつ、実はこんなことしたんだよ」とか(笑)。

荒木⦿いやあ…まあ、昔は酒飲みながら打合せとかしてたよね、とか(笑)。いい時代だったよねーみたいな。打合せでファミレスは必ず行ってたね、とか。焼き肉行ってからファミレス、とか、ファミレスのはしごとかもありましたね。アイデア出ないからファミレスのはしご(笑)。

——歴代担当編集者との印象的なエピソードとかってあります?

荒木⦿海外取材で「オレは体内時計がある」って言って、時計持ってこない人とかいましたね(笑)。で、「今、3時くらいかな」とか言うのね。時差があんのにさ。で、時計見たら本当に3時で(笑)。

——二重の意味ですごいですね(笑)。

荒木⦿その時はあってたけどさ、その体内時計を信用していい根拠はどこにあんだよ!(笑)

——食事の時間とかなら、まあ大雑把でも大丈夫でしょうけど、飛行機の時間とかね。

荒木⦿そうそう。シカゴの空港だったかな、どこにも時計がない時があったんですよ。自分の時計は日本時間になってたから、その担当に「今何時ですか?」って訊いたら、「3時くらいかなあ」って(笑)。間違ってて乗り遅れたらどうすんだよ(笑)。

——担当も奇妙なんですね…。「HISTORY BOOK」、楽しみすぎます(笑)。次にスタンド事典「STAND BOOK」なんですが。全スタンドとスタンド使いを網羅して、さらにはコメントまでつけるそうですね。

荒木⦿うちの仕事場でも資料として使えるレベルにしてほしいって注文しました(笑)。「JOJO-A-GO!GO!」の時はスタンドだけだったんで。

——さらにBlu-rayディスクが2枚同梱されます。1枚は東京での「ジョジョ展」の記録映像ですね。荒木さん、会場1回しか見れてないんですよね?

荒木⦿そうですね。展示が完成した後で、テレビの取材と一緒にまわったから、じっくりは見れなかったですけどね。

——2003年にパリで個展を開催されましたけど、その時と比べるとまた違う感じです?

荒木⦿いや、あん時に勉強したことが今回活かされてるかなーって思いますね。額の選び方とかさ。どういうのが自分の絵にあってる額なのかっていうのが。

——パリの時にいくつか試したりしたんですか?

荒木⦿試しましたね。色とかキツく塗ってるタイプの絵だと思うんで、デコラティブな額だとうるさくなるんですよ。白でシンプルで、フチの幅が広めのがいいんだよね。絵を邪魔しなくて。

——絵を活かすためには白で。「ジョジョ展」ではその指定でしたもんね。その展示を見て、あらためて気づいたことってありますか?

荒木⦿絵自体には特にないんですけど、要するに何て言うかな、絵ってさ、壁に掛けた時に「空間を支配する」っていう感覚があるんですよ。絵が上手いとか下手とかじゃなくて。あと、並べて見るリズムってのもあって。奥の方に絵の「スター」みたいのがいてさ、そこへ向かっていいリズムで見て行けるかっていう。そういうのがちゃんと出来てるかな、っていうのをチェックしてましたね。

——東京展と仙台展では展示の仕方も違いました。

荒木⦿仙台は画廊的っていうか、シンプルな流れの展示で、東京はリズムを重視した感じ。どっちもいい感じになってたと思います。

——この映像でようやくじっくり見れますね。

荒木⦿確かに。図面段階の打合せはやってて、レイアウトはわかってるんですけど、会場をじっくり見れてなかったんで。本人が見に来てるのもどうなの? と思ってさ(笑)。だから楽しみだし、読者の皆さんにも楽しんでもらいたいですね。


「歌川広重の画集とか結構見てますね。参考になります」

 その「ジョジョ展」では"ジョジョ日本八景"というコンセプトの描き下ろしを披露した荒木先生。これまでの"ジョジョ"の世界と和風テイストが融合した新しい一面を見せてくれた。そのあたりの意識の変化について聞いてみました。

——画集に収録される「ジョジョ展」用描き下ろし"ジョジョ日本八景"もそうなんですが、最近の荒木さんの絵から、和風テイストとポップさが融合したような印象を受けるんですよ。

荒木⦿うん、そうかもしれない。

——ルーヴル美術館とコラボした『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の時は、海外に向けての和風テイストっていう意図があったと思うんですけど、最近の絵から感じる和風テイストとはまた違う印象です。これって、何に起因するんでしょう? こしょう?

荒木⦿やっぱ『ジョジョリオン』ですよね。日本が舞台で、ちょっとパステルカラーっていうかさ。で、(歌川)広重の画集を結構参考にしてんですよ。浮世絵のペタッと塗る感じっていうか。

——奥行あるけど、ペタッとしてますね。

荒木⦿そういう伝統的な絵画手法で描いてるんで、それが『ジョジョ』の世界と融合して、奇妙な感じは出てるかなって思いますよ。

——画集にも描き下ろしがありますけど、そういうテイストのものが?

荒木⦿そうですね。ビビッドカラーというよりは、パステルっていうか、ちょっと白が多いっていうか。白が色の中に混ざってるんですよ。「グレー白」とか。わりと強い色っていうよりは抑えて。見てる人が落ち着く感じ? 興奮するよりは「いいね」「癒されるね」っていうか。

——年相応になってきた?(笑)

荒木⦿年相応になってきてるかもしんない(笑)。あと、時代もあんのかもしんないですね。

——時代の空気とか。

荒木⦿そうですね。ファッションの世界もパステルっぽい流行な気がするから、時代がそういう感じなのかもしんないですよね。GUCCIと仕事させてもらった影響もあるかもしれない。

——コラボした仕事の影響ですね。GUCCIのウインドウディスプレイはご覧になりました?

荒木⦿銀座と香港で見ましたね。

——「ジョジョ展」は荒木さんの絵の世界に浸る空間ですけど、GUCCIのウインドウディスプレイは、街中で急に自分の絵が現れる訳ですよね? れる訳ですよね? ご自分ではどんな気分なんでしょう?

荒木⦿うーん…ちゃんとお店に貢献できてんのかなって…(汗)。名誉なことではありますけど、あくまで漫画家なんで…恐縮な感じですね。

——―普段の領域とは違う特別な仕事というか。周囲の人たちからは、いい意味で違和感がなかったという感想が多かったです。

荒木⦿徐倫を知らなくても、なじんで見えるようにと意図して描いたんで、そう言っていただけてありがたいですね。

——パリの個展の時も、『ジョジョ』を知らないおじいちゃんが「君は絵がうまいね」って言ってくれたりしてましたけど、そういうふうにフラットに捉えられてるのかもしれませんね。

荒木⦿そういうの、嬉しいですよ。


 続いて同梱されるBlu-rayディスクのもう一枚、荒木先生が画集のための絵を描き下ろす制作現場に、ラフから線画、色を塗る過程まで完全密着したメイキング映像について聞きました。

——「ジョジョ展」の映像に加えて、先ほど撮影させていただいた荒木さんが絵を描く過程の映像も同梱されます。初めてじゃないですか? 下描きからフィニッシュまで撮影したのって。

荒木⦿そうですね、初めてですよ。

——描いてる時に撮影されると、やっぱり気になるものですか?

荒木⦿撮影してること自体はそんなでもないけど、リズムを壊される部分があるんですよ。普段描いてる時は音楽かけてることが多いんですけど、(撮影の都合上)「ここで音止めます」とか。ここからグワッと乗っていきたかったのに、みたいな(笑)。

——担当編集者でも、描かれていく過程をここまで見る機会はそうそうありませんよね。

荒木⦿そうですよ。本当は別にさあ…こういうのは見せるもんじゃない。漫画家っていうのはさ、完成したものを見てもらうものだと思うから。

——でも、読み手としては見たいですよ!

荒木⦿うん…まあね。そういう記念だからやりましたけど、本来はそういうもんじゃないと思うん で。だから別に…見なくていいっすよ(笑)。

——必見ですってば!(笑)


「今年はとにかく『ジョジョリオン』と「JOJOVELLER」に集中します」

 最新作『ジョジョリオン』、2012年に開催された「ジョジョ展」、同年放送開始されたテレビアニメーション、さらには今年8月にリリースを控えるゲーム『ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル』と、広がりを見せる『ジョジョ』ワールド。その広がりに呼応するように、10代・20代の若い読者が増えてきています。この状況、荒木先生はどのように感じているのでしょう?

——最新作『ジョジョリオン』、原画展やアニメ、ゲームから、新たな若い読者層が入ってきてくれていますね。

荒木⦿それはもう、単純に嬉しいですよ。

——アニメやゲームについてはどうですか?

荒木⦿人の作品として見てますよ。アニメだったら監督さんが、ゲームだったらプロデューサーさんが、『ジョジョ』を題材にして作ってくれた作品っていうか。みんな素晴らしいと思いますよ。楽しいです。アニメも見ましたよ。よかったっすよ。

——テレビアニメの監督・津田さんも、これで心底ホッとしますね(笑)。アニメは第1部・第2部の主題歌も好調で、それぞれサウンドトラック盤もリリースされますね。エンディング曲、YESの『ROUNDABOUT』(アルバム『こわれもの』収録)も、また売れてるみたいです。

荒木⦿すごいね…! 嬉しいなあ。

——ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険オールスターバトル』もPVを動画サイトに発表する度に200万再生オーバーです。先日発表された第4弾PVもあっという間に100万再生オーバーと、クオリティーも注目度も高いですね。

荒木⦿対戦格闘ゲームは全然出来ないんで、ちょっとわかんないとこ多いですけど…映像はすごいよね。皆さんが喜んでくれれば言う事ないです。

——最後に、最新作『ジョジョリオン』についていて聞かせてください。昨年は『ジョジョ』25周年で忙しかったので、ややゆっくりしたペースでした。今年はもう『ジョジョリオン』に集中して、って感じですか?

荒木⦿それはもう、はい。今年はとにかく『ジョジョリオン』と「JOJOVELLER」ですね。楽しんでもらえたら嬉しいです。

——コミックス最新巻が5月発売予定ですね。連載とあわせて、本当に楽しみです!


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